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世界の為に死んでくれ  作者: ソラ子
第六章 食事会
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死は救い

〜アイルside〜


サクラくんと最後に会ってから、2日くらい立っただろうか。


ーーー結局私は、あの女の子を殺せなかった。


それでもまだ、なぜアストレア家のお屋敷にいるかと言うと、理由は簡単だ。


『秘密を知ったからには、出すわけにはいかない』……誰にでもわかる単純な理屈だと思った。


食事はルキウスさんが運んでくれるし、部屋もあてがわれている。自由に出られない以外、不便なことは無かった。


ただ一つ、心残りがあるとすれば、サクラくん達のことだ。


なんの連絡も出来ていない。もしかしたら心配しているかも知れない。


ーーーずっと一人でいると、色々な事を考えてしまう。


ルキウスさんの願いの事。また殺されてしまう少女の事。


そして、私の能力(ちから)の事。


……死は救いなのだろうか。


あらゆる理不尽から、苦痛から、悲しみから開放されたその先は……?はたして、死ぬことで救われるのだろうか。


人は弱い生き物だ。理不尽には抗えない。苦痛には耐えられない。悲しみは乗り越えられない。……だから、簡単に何かを投げ捨ててしまえる。だから、逃げ道があったら我先にと逃げ出してしまうんだ。


その逃げ道の名前が『死』であったとしても。


死ぬ事で逃げられるのだろうか。死ぬ事で消せるのだろうか。


あの子が受けてきた理不尽を、あの子が与えられた苦痛を、あの子に刻まれた悲しみを。……死ぬ事で、そんな事で消せると言うのか。


……私にはわからない。わからないけどーーー()()()()()()()()()()()()()()()


死で救われる事も……いや、死ぬ事でしか救われない事も、あるのかも知れない。


……だったら、私は……


ーーーサクラくんなら、どうするのだろうか。


私を救ってくれたサクラくんなら。


シノを救ってくれたサクラくんなら。


お姉ちゃんを救ってくれたサクラくんなら。


決して救われぬ少女を、どうやって救うのだろうか。

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