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世界の為に死んでくれ  作者: ソラ子
第六章 食事会
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〜アイルside〜


「………」


ルミナさんの家を出てから、ずっと視線を感じる。


気のせいかとも思ったが……違うようだ。どれだけ回り道をしても、どれだけ細い道を通っても、視線はピッタリと付いてきた。


誰かにつけられている。間違いない。


私はただ両親に会いに行っているだけだ。やましい事などしていないし、尾行される覚えはもちろんない。


「………よし」


素人の私にバレるくらいなのだから、相手もきっと素人なのだろう。さほど危険はない……筈だ。


意を決し、もう一度細い路地に入る。


そして、足を止めて振り向いた。


数秒後に現れた男が、驚いた視線を向けてくる。だが、それも一瞬の事だった。男はすぐに落ち着きを取り戻す。


「……私に何か用ですか?私達は初対面だと思うのですが」


「……すまない。慣れないもので、レディに声をかける勇気が出なかったんだ」


気品に溢れた声だった。その言動から、纏っている衣服から、育ちの良さが伺える。


「お茶のお誘いなら受けませんよ。私には心に決めた人がいますので」


「それは残念だ。それでは……もう一つのお願いをするとしよう」


男は一度大きく息を吸込み、左手を差し出した。


「私と一緒に来てくれないか?君に会わせたい人が……。いや、違うな」


そこで一度、自嘲気味に笑い首を振った。そして、咳払いを一つ。


「君に。死神と呼ばれたアイル・コールにーーー『殺して欲しい人』がいる」


男の瞳には決意の炎が揺れていた。……だが、僅かに異物が混じっている。


1滴。ほんの少しだけの躊躇いが………。



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