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どうしても涙がとまらない僕に
「どーした?なんか学校であったの?」
とギュッと抱きしめてくれたんだ。
僕は頑張って声をだして言ったよ。
「普通じゃないってどういう意味?」
お母さんは一瞬キョトンとした顔をしてから笑って言った。
「普通じゃないって誰かに言われたの?」
僕は小さな声で言ったよ。
「先生に…先生が普通じゃないって。
そしたらみんな笑いながら学校にもう来ちゃだめだって言うんだ。
普通の子ってどんな子?」
ちゃんと説明できなかったよ。
いつものように、
お母さんに怒られると思ったから。
よけい涙が止まらなくて、
声もどんどん出なくなってきちゃった。
お母さんは深いため息をついてから、
ニッコリ笑って言ったよ。
「お母さんも普通じゃないからわからないな。」
え?
思わず顔をあげて、お母さんをみた。
「それにお母さんは普通がいいとは思ってないしね。」
お母さんは笑ってた。
いつものように怒った顔ではなかった。
「なんでそんな事を先生は言ったんだろうね。」
いつものように質問責めではなく、独り言のようにお母さんは言った。
「僕が授業中ふざけて友達と騒いだから。」
お母さんは笑ってる。
怒ってないみたいだけど、僕は小さな声しか出せなかった。
「そっか。授業中ふざけて騒いだらいけないね。」
僕は思わず、
「それはわかるよ。それはわかった。
だからもうしない。」
大きな声でお母さんに言った。
「そりゃあ良かった。今度から気をつけてね。
でもね…たしかにお前は普通じゃない子だ。」
え?
やっぱり僕は普通じゃない子?
やっぱり僕はダメな子なの?
不安を口にする前にお母さんは僕を強く抱きしめて言ったよ。
「お前は特別な子だよ。
普通なんかじゃない。
お母さんの宝物。
お母さんの大切な大好きな特別な子供だよ。」