罠
マモルは1から24、さち子は50から26までの番号をしらみつぶしに探していく。
(次で、最後……)
通路でマモル、あとから来た警察官と合流。
25番目の部屋に入る。
すると……
「……あった!」
リクライニングチェアの上に、黒のボストンバッグが置かれている。
「さち子、早く!」
「分かってるわよ!」
さち子が汗ばむ手でボストンバッグのジッパーを降ろすと、中からデジタル表示付きの、恐らく爆弾と思しき塊が現れた。
タイマーは、残り5分を切っている。
「リモコンは!?」
さち子が手探りでバッグの中身を取り出す。
「……何よ、これ」
取り出した物は2つ。
一つはスマートフォン。
そして、もう一つは細長い胴体の、ショットガン。
「爆弾を止めるのが先だ!」
警察官が叫び、スマートフォンを操作する。
爆弾停止アプリが入っているのを確認すると、起動、停止の表示が現れた。
迷わず停止ボタンを押す。
「……どうだ?」
「……止まったみたい」
デジタルタイマーは、04:26の所で止まっている。
「助かっ、た……」
さち子が床にへたり込んだ瞬間、スマートフォンに着信が入った。
警察官が通話に出る。
「……はい」
「おめでとう。 最初のゲームはクリアしたみたいだね! 次は、君を殺すために武装したユーチューバーを2人、けしかけるよ。 そこのショットガンで切り抜けてくれ! またね」
「なっ、ふざけ……」
ピピピ、と音がしたかと思うと、スマホの充電は0になっていた。
その直後、チン、という音が警察官の耳に届く。
「……マズい」
場所は漫画喫茶のど真ん中。
完全に袋のネズミであった。
「2人とも、机の下に隠れていろ!」
警察官は腰に下げている拳銃を手に取った。
「……相手はターゲットを俺だけだと勘違いしているみたいだ。 だから、俺が戦っている隙に逃げろ」
「どういうこと? 説明しなさいよ!」
「その暇がないんだ。 このスマホが手掛かりだ。 後は、頼んだぞ!」
スマホをさち子に渡すと、警察官は部屋から飛び出した。