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主婦の暇つぶし  作者: oga
16/17

Mルート

 マモルは、「力」を行使した。


「さてと…… 警察を呼ぶ前に、いくつかやらなきゃいけないことがあるな」


 マモルは、尾田A一郎のあの様子を見て、全ての罪を被せてしまおうと考えた。

 念のため、階段を上がり、仕事部屋を確認する。


(……やっぱり、下のことには無関心みたいだ)


 今度は、1階に下りて、部屋を隅々まで探す。


(この後、警察がここに来たら、ショットガンは没収されちゃう。 だから、スペアを見つけておかなきゃ……)


 もし警察に自分が犯人だとバレても、ショットガンさえあれば、返り討ちにできる。

マモルはそう考えた。


(絶対に、武器庫があるはずだ……)


 今回の事件では、武器を持ったユーチューバーが敵として現れた。

それらの武器は、この家のどこかに隠されている可能性が高い。

 マモルがキッチンの床面を探ると、非常食などを蓄えておくスペースを発見した。


(あった!)


 そこには大小様々な銃火器が隠されていた。


(後は、適当な袋があれば……)


 タンスの中に、ボストンバッグを発見。

ショットガンを詰めると、鈴子の亡骸に近づく。

そして、手の中にある、ライオンのネックレスをむしり取った。


「これは、役に立つかもしれない」


 ボストンバッグの中に放り込むと、それを背負い、一旦家の外に出る。

少し離れた草むらにバッグを隠すと、また引き返してきた。

今度は、スマホで110番にかけ、状況を説明する。


「警察ですか? 大変なことになっちゃって…… とにかく、早く来て下さい!」

 

 住所を告げ、通話を切る。

床に置かれていた、さち子らを仕留めたショットガンを拾い上げると、今度はそれを自分の肩に当てた。


「う、うわああああーーっ」


 ガアン、という音が炸裂。

マモルの肩を、弾丸が貫いた。


「ぐうっ……」


 朦朧とする意識の中で、ショットガンの引き金についた指紋を拭き取る。

それが終わると、銃を投げ捨て、マモルは意識を失った。






 病院で目を覚ましたのは、翌朝だった。

事件のことが発覚し、漫画家のA一郎は逮捕。

世間を揺るがすニュースとなる。

 警察の事情聴取では、さち子が犯人を見つけ、問いただした瞬間暴れ出し、自分の持っていたショットガンを奪われた、と答えた。


「大変だったね、マモル君。 今は、ゆっくり休んでくれ」


「……さち子や鈴子さんを、守れなかった。 マモルなんて名前、嘘っぱちです」


 俯き、目に涙を溜めるマモル。


「……君は、勇敢だった」


 警察官に抱き寄せられるも、腹の底では笑いが止まらなかった。





 

 それからしばらくして、マモルは動画を投稿した。

病室の中でスマホを自分に向け、撮影する。


「こんにちは。 知っている方もいるかもですが、マモルです。 僕は今日から、さち子の後を引き継ぎ、ユーチューバーとして活動していきたいと思います。 応援、よろしくお願いします!」


 さち子の人気を横取りしてしまおうと考えたマモル。

ところが、予測外のコメントが流れた。


「ふざけんな! お前が犯人だろ!」


「ショットガンなんて持ち歩いてんじゃねーよ!」


「不謹慎だろ、わきまえろ!」


(こいつら……)


 野次のコメントの嵐。

マモルは、ボストンバッグを隠した草むらに向かった。






(……全員、殺してやる)


 マモルは、ボストンバッグからライオンのネックレスを取り出し、動画を再生してかざした。

コメントにつく、リスナーの匂いを嗅がせ、今度はスマホで地図アプリを開く。

地図上に、赤い斑点が浮き上がった。


(全部で14人か。 待っていろ……)


 マモルは、彼らの元へと向かった。



 



おわり


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