追い詰めた先で
10月15日、午後7時30分。
ブルーインパルスに乗せられ、さち子たち3人は沖縄の米軍基地へと降り立った。
「これでいい?」
戦闘機をバックに、自衛隊と鈴子のツーショットをスマホに収め、渡す。
「ありがと、さち子さん」
「オエエエエッ……」
一方、マモルは戦闘機酔いを起こし、到着した瞬間、地面に吐しゃ物をぶちまけた。
「マモル、大丈夫?」
さち子が駆け寄り、背中をさする。
「はあっ、はあっ…… 何で、さち子は平気、うぷっ……」
「私、離陸の時のGで気絶してたから、はは……」
この後、自衛隊の車で糸満市の犯人がいると思われる場所にやって来た。
「一応、俺もここで待機しているから、何かあったら呼んでくれ」
「ありがとうごさいます!」
さち子が一礼すると、3人は当たりを付けた家の手前までやって来た。
マモルはポケットからある物を取り出し、つぶやいた。
「……父さん、行ってくる」
それは、父親の形見の懐中時計であった。
この事件を解決できれば、マモルは大きな実績を積むことになる。
マモルは、ここぞの場面で、父親の力を借りようとした。
「準備はいいわね」
さち子は、背中にくくっていたフライパンのひもをほどき、手に持つと、呼び鈴を鳴らした。
「はーい」
扉が開き、中から女性が現れた。
少しふくよかな、30代後半と思しき女性だ。
それぞれ武器を持った3人を一瞥し、険しい表情になる。
「あなた達、なんなの!?」
「奥さんですか? すみませんけど、中に入れさせて貰います」
女性を押しのけ、部屋に突入する。
1階はキッチン、リビングで、犯人の仕事部屋はここにはない。
「2階よ!」
どたどたと駆け上がり、正面の襖を開ける。
「……」
部屋は、6畳程度の広さで、机に向かって何かを書き続ける男が一人。
壁には、本人の作品である、ワンピークのキャラのポスターが貼ってあった。
「見つけたわ、尾田先生。 あなたを逮捕します!」
男は、マンボウのかぶり物をしていた。




