第9話 太陽の都―6
「お、お、お前はッ!?」
「わりぃ、シュー。どうしても……我慢できなくなっちまった」
ペトラルカは口をパクパクさせて、ぼくらの登場に驚いている。
ナギは謝ったけど、本当はぼくも同じ気持ちだった。
リンのことを、道具のように扱って……許せない。
だけど、前夜祭でルクスパレス王に会えるチャンスが目前にある今、騒ぎを起こすのはどう考えても得策じゃなかった。
「飛んで火にいるマーメイドッスね!」
「いやマーメイドは飛ばねぇしっ! ……じゃなくて、捕まえるぞラウラッ!!」
ローブの下の短剣を抜こうとするペトラルカ。
ラウラもいつもの大剣は背負っていなかったものの、ファイティングポーズを取り戦闘体勢を取っている。
「おい、騒ぎなら他所でやってくれ――」
店内中に響き渡る店主の怒号。
もうダメだ、これじゃあ逃げることも出来ない。
「どうしよう、ナギッ」
ぼくが悲鳴をあげた――その瞬間だった。
「いやー、かつての悪友と再会しちゃってですね」
あはは、と笑って店主に釈明するナギ。
……あ、あれ?
いったい、何がどうなった?
いつの間にかペトラルカとラウラはテーブルに突っ伏していて、完全に意識を失っているようだった。
「え? え? 薬でも盛ってたの?」
「お前、オレがとんでもない悪党だと思ってないか……? とりあえず、今のうちに出るぞ」
ナギはいそいそと荷物をまとめ、会計を済ませる。
わけが分からなかったが、ぼくは言われるがままに食堂を後にした。




