第9話 太陽の都―3
その後の朝食の席にて。
「無理ですわ」
デンスの反応は冷ややかなものだった。
「そ、そうなの?」
「精霊の力を元に魔法を行使する私たちからしてみれば、悪魔や死霊の力を行使する魔導士は邪道ですもの。派閥が違う、とお考えくださいまし」
いつものデンスと違ってかなり険しい表情である。
魔法のこととなると、デンスは真剣そのものだ。
「じゃあ、パーティに戻るって言って別れちゃったけど、パメラもそういう術は使えないのかな」
「恐らくは。変な機械は使ってましたけど、あの子も私と同じく、精霊使いだったはずですわ。というか、どうしてあの子の名前を出すんですの!? シュー様には私というものがありながら!」
キーッとムキになって怒るデンス。
確かに、デリカシーがなかったかもしれないけど……。
「あ、お前あれだろ? シューはその姿の方が可愛いから、わざとそう言ってるんじゃね?」
「な! 失敬なことを言わないでくださいまし! 確かにそれはそうですが、シュー様が本気でそうお考えであれば、私はその決意を止めることはしないですわ!」
そ、それはそうなんだ……。
ナギに横槍を入れられ、デンスは頬を膨らませてご立腹の様子である。
だが、ぼくがじっと見ていると、やがてデンスはため息をついて肩の力を抜いた。
「……そんなつぶらな瞳で見つめないで欲しいですわ。シュー様が望むなら、私も協力はしてみます。王都の近くにスコル教の大聖堂がありまして、そこなら多くの魔導士がいるはずですもの。クレリックや、もしかしたら召喚士も所属しているかもしれないですわね」
「本当に!? ありがとうデンス、感謝するよ……。……って、ちょっと待って」
デンスの協力を得られて喜んでいたが、今、どうしても聞き逃せない一言があった気がする。
「その、召喚士ってなんなの!?」
「え? ……まあ、魔導士の中では常識ですけども、確かにマイナーな分野ですし知らなくても無理はないですわね。召喚士というのはその名の通り、精霊や天使、悪魔など、他の種族を召喚する魔法を行使する者のことですの」
「それって、例えば……人間も召喚できる!?」
「人間? そんな話は聞いたことないですわ。何かしらの魔法的な契約がないと、普通は召喚できないと思いますわ」
ぼくの食いつき方に、デンスは少し面食らっているようである。
「シュー、ちょっと落ち着けって」
ぼくを制するように、ナギは鋭い声をかけてきた。
あまり深く突っ込みすぎると勘付かれると思ったのだろう。
「まあ、それなら一旦ルクスパレスに入る前に解散して、現地で合流すればいいんじゃねぇの? どうせ、この人数で一気に入るのはリスキーだと思ってたんだ。各自、身元を隠しながらあとで落ち合った方がいい」
「そういうことなら、俺の知ってる宿があるんだ。そこで会うのはどうかな――」
かくして、ぼくとナギは一足先に、王都ルクスパレスへ入国することになったのである。




