第9話 太陽の都―1
「うおーっ! すごい! でかいー!」
目の前にそびえたつは、ぼくらの目的地であったルクスパレス城。
城下町からでも見上げることが出来る、丘の上の巨城の迫力に、ぼくは興奮しっぱなしだった。
「なんつーかさ、感動するのは分かるけど、その語彙力なんとかならねーのか?」
「なんで!? だって、こんな中世チックな町並みなんて始めて見るじゃん! これはもう、観光に来たのと同じだよー」
見渡す限り広がるのは、今までゲームの中でしか見たことがなかったような、石畳の町やレンガ造りの家。
道を走るのは、銀色の鎧を身に纏った騎士が乗る馬である。
これまで異世界を探検してきて、だんだんとファンタジーな世界にも慣れてきたつもりだったけど、さすがにここまで王道な世界観の町を目の当たりにすると、驚きを隠せなかった。
「そんなに喜ぶことかね……はぁ」
そんなぼくとは対照的に、ナギは全くの無感動で、当たり前のもののように町を眺めている。
こっちとしては、逆にそのリアクションの薄さの方が怖いくらいなんだけども。
こうして、ぼくら二人はひとまずの旅の目的地となっていた、王都ルクスパレスに到着……もとい潜入することに成功したのだった。
デンスとランドはどうしたかというと、話は、少し前に遡る――
***
「ぐああああああああああああああああああああっ!!」
夜明けの湖畔に響く絶叫。
静けさを引き裂いたその声は、ランドのものだった。
「な、なにが……!?」
目を覚ましたぼくは慌てて外に飛び出していく。
王都ルクスパレスに向かう途中のぼくらは、道中にあった湖のコテージに宿泊していたところだった。
一緒の部屋に寝ていたはずなのに、ランドも、ナギもその姿を見せない。
きらめく朝日を反射し始めた湖の前で、ぼくが目の当たりにした凄惨な光景とは――
「た、助けてくれ、シュー」
ロープで足をぐるぐる巻きにされたランドが、大木の枝から真っ逆さまに吊るされていた。
その下には、げへげへと悪い笑みを浮かべたナギがいる。
「げへげへ」
「ナ、ナギ? これはまた、何をしたの……? っていうか、その笑い声は口に出すものじゃないと思うよ」
「見ての通りだ。ついにオレは、このおっさんを一泡吹かせることに成功したんだぜ!」
こういうのは普通、一本取ったとかそういう感じで言うものじゃないのか?
どう見ても罠に嵌めただけのように見えるが……。
「ま、そういうことで後はヨロシク。気分がいいからこのままジョギングしてくるぜ」
「はぁ!? お前、せめて下ろしていけよ!? このまま放置するんじゃねぇ!」
ランドの懇願をさらっと無視して、ナギはすたこらさっさと駆けていった。
「……えっと」
残されたぼくとランドの間の気まずい沈黙。
「とりあえずオレを下ろしてくれないか?」
「ごめんなさい、ぼくの今の体じゃたぶん無理……なんかやたら結び目が固くなってるし」
とりあえずチャレンジしてみたが、ぶたのぬいぐるみの姿じゃどうしようもなかった。




