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第8話 ダンジョン・イン・ザ・“ゆうしゃ”―6

「ほう、ようやく姿を現したか。それでこそ、“ゆうしゃ”の気を追って来た甲斐があったというものだ」


「なんだそれ、愛の告白かよ? オメーみてーないい年して外で裸になるド変態に言われても、なんも嬉しくないんだけど?」


 ナギはティルヴィングを構えながら、丁々発止のやり取りを天狗に対してする。


 あまり挑発するようなことは言わない方がいいような気がするんだけど……。

 にしても、やっぱりこの男、ナギを追ってきたのか。


「気をつけて、アイツの目的はナギみたいだ」


「分かってる。“ゆうしゃ”狩りがアイツの目的みたいだからな。さしずめアイツは悪の手先ってとこか」


「悪? 悪だと? ……ハッ、笑わせてくれる」


 ナギの言葉に、天狗は仮面の下で嘲笑に似た笑みを浮かべた。


「むしろ逆だろうが。貴様らこそがこの世界を破壊する異物で、我は正義のために行動しているのだ。だから改めて言おう、余計な抵抗はするな。我が楽に往生させてやる」


 異物……? どういうことだ?


 まさか天狗は、ぼくらが別の世界から転生してきた存在だということを知っているのだろうか。

 ナギも少し驚いたようで、チラリとぼくの方に目配せをした。


「シュー、悪いけど今回はオレも本気で行くぜ」


「え?」


「胸騒ぎがするんだよ……アイツを生かしておくと、ヤバイことになるってな!!」


 まるで悪役みたいなセリフを吐き捨てながら、ナギは天狗に斬りかかっていった。


 も、もしかして本気で殺す気ってこと?

 いくら異世界っていったって、さすがにそれはまずいんじゃあ……。


「ふん。青二才めが、図に乗るなッ!!」


 天狗が放った無数の靄の槍を、ナギは自らの進路で命中するもののみを見切り、ティヴィングで斬り払っていった。


 すごい、この前までの剣の使い方も知らなかったナギとはまるで別人である。

 これがランドとの猛特訓(?)の成果なのか。


「であああああああああああっ!!」


「多少はやるようになったようだが……だがッ」


 天狗の懐まで一気に飛び込んだナギは、振りかざしたティルヴィングで果敢に斬りかかっていった。

 相手は丸腰なのだ、距離を詰めてしまえばリーチの差でこちらが有利――だと思ったのだが、


「破ッ!!」


 キン、と高い音が鳴って、ナギの斬撃は靄をまとった天狗の右腕に受け止められていた。


「おいおい、何でもありかよコイツ……」


「その程度では、我に傷一つつけることすら叶わぬわッ!!」


 繰り出される天狗の前蹴り。

 ナギはそれをモロに食らう直前に、大きく後ろへステップした。


「ぐぅ……っ」


 蹴りは浅く命中したが、大したダメージにはなっていないようである。

 踏みとどまったナギは、すかさずもう一度斬り込みに行くが――


「のわっ!?」


 突如としてバランスを崩し転倒するナギ。

 その理由は、いつの間にか足元に張り巡らされていた、靄の蔓だった。


「ナギっ!?」


 とっさに声がでる。

 靄の蔓は生き物のようにナギの足に絡みつき、食らいついて放そうとしない。


 足を止められたナギの頭上から、拳を振り上げた天狗が襲いかかろうとしていた――

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