第7話 天才美少女ガンナー現る!!―2
「ちょっとは話を聞いたらどうなの!? この子は命の恩人だよ!?」
「いーのいーの。人助けは趣味だけど、だからといってチヤホヤされるのが目的じゃないから」
少女は妙に大人びた、すれた発言をしつつ、ちびちびと三角にした唇でバナナミルクを飲んでいる。
パッと見た時から不思議な雰囲気の少女だとは思っていたけど、改めて見ると、やはり不思議な子だった。
透き通るような白い肌に、金髪蒼眼、非の打ち所の無い可憐な少女である。
なのに、頭にはカウボーイが被るようなテンガロンハットをベースにした、それでいて先端は尖った茶色い三角帽子を、すっぽりと被っている。
服装は極めて活動的で、チューブトップにベストと、ヘソが丸出しで寒そうである。
ズボンも短いホットパンツのような形状で、これまた脚が丸出しである。
こんなに大人っぽい格好をしているのに、見た目はまだ十代前半と、下手したらぼくより年下に見えるのが本当に不思議である。
「む。お前、バナナミルクが好きなのか?」
ナギは妙なところに目をつけて、妙な対抗心を燃やしていた。
「マスター、イチゴミルクおかわり! こいつのツケで!」
「最低だ!? あんた最低だよマジで!!」
そんなこんなで、少女を交えた夕食はドタバタで終わり、なんとかお金を返さなければならないと、みんなの思考もまともに働き始めた頃である。
「ん? なんだ、えれぇ綺麗な嬢ちゃんがいるなぁ?」
酔っ払った大男が、酒のジョッキを片手に少女に近付いてくる。
「どうだ、こっちに来て一緒に飲まねぇか?」
男の手が少女の肩に触れた瞬間だった。
剣呑な殺気を隠そうともせずに、ランドがバッと立ち上がる。
「おいコラ、やめ――」
「せっかくだから奢ってやるぜ? その年じゃあ、金にも困ってるだろ?」
が、お金の話を持ち出され、すごすごと引っ込むランド。
うん……仕方ないよね、ぼくら全員奢られてるんだもん。
このおじさんが食事代を持ってくれるなら、それはそれでまあ、みんなハッピーってことで――
「生憎だけど。私はお金には困ってないし、あんたみたいなチンケな男を相手にしてる暇もないの」
「な、なにィ!? この女、人が下手に出りゃあいい気になりやがって!!」
少女が痛烈な一言をお見舞いすると、完全に大男は頭に血が上った様子だ。
「こっちに来い、大人が口の利き方ってモンを教えてやるよッ!!」
酔っ払った大男がぼくらのテーブルを蹴り上げて引っくり返し、酒場中が騒然とした。
「ああっ!? 食べかけのチキンがぁぁぁぁぁ」
「ちょデンス!? 今は食べてる場合じゃないって!」
さりげなく床に四角いパンコロが散らばっているが……まあ見なかったことにしよう。
それよりも今は少女の身の安全である。
少女は大男に胸倉を掴まれて、今にも殴られそうである。
「チッ、どうしてオレの周りの女ってのは、こうも向こう見ずが多いんだか」
すかさず、“ゆうしゃパワー”を発揮して少女を助けようとするナギ。
だが、それよりも早く――
パァンと、一発の銃声が酒場中に鳴り響いた。




