第6話 パーティ結成!―10
馬で駆けるペトラルカにどんどん差を詰められ、その後にはわらわらと多数の構成員が続いている。
「ちょ、ま、待って……」
「フン、もはや戦う体力すら残っていないように見えるな……策士策に溺れるとはこのことなり! 俺は微塵も容赦はせんぞ!!」
汗だくになり、げっそりとやつれたナギは、右手を突き出し止まれというようなジェスチャーをした。
ペトラルカは馬に鞭を打ち、一気に勝負を決めようと、ナギに標的を合わせ短剣を振り上げる。
そして二つの影が交差した――その時だった。
「だから、待てって言ったのにさ」
突然屈み込み、突き出した右手で地面に触れたナギ。
すると次の瞬間、街道の地面に長く亀裂が入り、そのまま足場が崩落した。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
何の前触れもなく崩れた足元に、馬に乗ったまま飲み込まれていくペトラルカ。
続いていた構成員たちも、同じように地面の亀裂に飲み込まれていく。
「ぎゃーっはっはっは! お前ら、ホントに単純だよなぁ!? おもしれーっ!!」
ナギは腹を抱えて、まるで悪人のような笑い声をあげていた。
そう、これはもちろん街道の欠陥工事などではなく、ナギの“ゆうしゃパワー”で作り出した即席の落とし穴である。
引き付けてまとめて倒すのはナギのお得意の戦法で、今回も、決して一人で逃げようとしたわけでなく一網打尽の機会を窺っていたのだ…………たぶん。
「き、貴様、卑怯だぞ!? こんな姑息なやり方で――」
「卑怯? やだなぁ、合理的って呼んでくれよ。それに、勇者は卑怯な手を使っちゃいけないなんて、そんなルールあったか?」
ナギがパチンと指を鳴らすと、落とし穴の上にザーッと焦げ茶色の土が降り注ぐ。
ペトラルカらが生き埋めになる中、馬だけは首を出してぶるるといなないた。
「ま、お馬さんに罪はないから、このくらいの量で勘弁してやるよ。どうだ? シュー。オレも丸くなっただろう」
「うーん……ウニがクリになったくらいだけどね」
「それって進歩してるのか?」
そんな軽口を叩きつつも、ひとまずペトラルカの撃退には成功したらしい。
あとは、彼らが復活する前になるべく距離を取りたいところだが……。
「ところでさ、ナギ」
「うん?」
上空から一連のやり取りを見ていたぼくには、一つの疑問が残っていた。
「街道がぐちゃぐちゃになって、馬車が通れなくなっちゃったと思うんだけど……これからどうするの?」
「……あっ」
完全に、しまったというような声を発したナギ。
この後、他の通行者が来る前に全力で逃げたことだけは、罪滅ぼしに告白しておこうと思う。




