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第5話 ぼくらの世界(後編)―13

「え? し……なに?」


 一瞬、勘違いしかけたが。

 その発言は、ランドが先にしたものだった。


「教えるのはいいけど……俺のことは、おっさんじゃなくて師匠って呼んでくれ!」


「……は、はぁ!? 嫌だよ、オレは勇者だぞ!? なんで戦士Aに対して師匠なんて呼ばなきゃいけねーんだよ!?」


 突然の要求に、戸惑いを隠しきれないナギ。


 あ、あれ?

 なんか今まで良い雰囲気で話が進みそうだったのに、物凄い勢いで雲行きが怪しくなってきたぞ?


「あぁぁん? それが人にモノを頼む態度か? 地裂の猛牛とまで呼ばれた俺が、せっかくお前のコーチをしてやろうと言ってんだぜ?」


「くっ、さすが山賊……人の弱みを見つけた途端、足元見てきやがった」


 がっはっは、とバカでかい声でランドは笑い飛ばした。


「なんだよ、減るもんじゃねぇし、いいじゃねぇか! そうすりゃ俺は勇者の師匠ってことになる、単なる戦士Aより、よっぽど良い立場だろう!?」


「ふっざけんな!! いいか、オレの旅について来てもいい、来てもいいが、あくまでリーダーはオレだ、オレが勇者だからな!? 分かったなら、少しはそれ相応の態度を示しやがれ!!」


「ふーん? そっちがそういう態度を取るなら、俺も協力はできねぇなぁ?」


 な……なんだ?

 何なんだ!? このレベルの低い争いは!?


「お前に真剣に頼んだオレがアホだったよ、死ねクソオヤジ!!」


「俺に死なれて一番困るのは誰だよ? プリーストでも仲間に加えるか?」


「お前は絶対復活させない、最初からラスボスまでずっと棺桶で引きずってやるわ」


 ナギはそう吐き捨てて、借りている民家まで早足で戻っていった。

 まずい、ランドの様子も気になるけど、こっそり覗いていたことをナギに気付かれる前にぼくも戻らねば。


 チラッと横目で見てみると、ランドは腕を組んで、がっはっはとバカ笑いをしていた。

 本気で言っていたのかナギをからかっただけなのか、いまいち現状では判断がつかないが。


 翌朝、ナギが物凄い不機嫌でブチギレていたのは、言うまでもない。

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