表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/354

第5話 ぼくらの世界(後編)―6

「初めから何か変だと思ってたんです。なにか妙な違和感があるって……やっと分かりました」


 天狗はぼくと対面すると、腕組みをして動こうとしなかった。

 早く考えを言ってみろと、催促されているようだ。


「その天狗のお面……ぼくらの世界のものに近いんですよ。ぼくらから見れば、この異世界は典型的なファンタジーの世界感だ。それなのに、その天狗のお面は妙に浮いてるんです。それに加えて、さっきのナギが“ゆうしゃパワー”を使うことを見透かしていたような動き」


 ほう、と天狗はお面の輪郭をそっと撫でる。


「あなたも、ぼくらと同じなんじゃないですか……? ぼくらの世界から、異世界に転移した――」


「だとしたら、なんだと言うのだ?」


 突然、揺らぐ視界。


 あれ?

 どうしてだ?


 どうして、ぼくは天狗に殴られ吹き飛ばされて――顔を殴られた痛みを感じているんだ?


「うあああああああああああああああっ!?」


「姿形で油断していたが、貴様もコイツと同じなら……倒すまでのことだ。否、むしろ感謝しようではないか。こうして、自らの出自について明かしてくれたのだからな」


 ぐわっはっは、と天狗は実に愉快げな笑い声をあげた。

 今までブタの姿になってから感じたことなど無かった痛みが、ジンジンとぼくの右頬を突き刺している。


 ……やはりコイツは、ぼくらと同じ世界の人間で。

 その上、転移者狩りを目的としている……相当、危険なヤツに違いなかった。


 いやむしろ、ぼくらの天敵と言ってもいいような存在だろう。


「だが、まずはこのガキからだ。コイツの力は、あまりに危険すぎるからな。……さぁ、起きろ」


 天狗はうつ伏せに倒れていたナギの身を起こすと、大木を背もたれにして無理やり座らせた。

 ナギは辛うじて意識が残っているのか、うぅ、と小さな呻き声をあげている。


「貴様の命……確かに貰い受けるぞ」


 構えた天狗の右手から、黒い靄のようなものが溢れ出す。

 嫌な予感がする――ぼくはすぐにナギの元に寄ろうとしたが、


「ぐあああああああああああああああああああああああああああっ!!」


 次の瞬間には、天狗の手刀が、ナギの心臓へと突き刺さっていた――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ