表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/354

第5話 ぼくらの世界(後編)―3

「ねぇリン! ぼくだよ、シューだよ! 覚えてないの? せめてぼくらのことが分かるかくらい、教えてくれたって――」


「だから貴様らは誰と……勘違いしているんだッ!!」


 不意に足を止めるリン。

 その矛先は、上空のぼくへと向けられていた。


「え――」


「貴様の声、耳障りだ……ッ! 消えろッ!!」


 それまでの無表情から一変し、リンは憎しみのこもった目でぼくを睨みつけてきた。

 そして、上空に対して黒い剣を一閃させる。


 何もない、文字通り空を斬った一撃だったが――


「避けろ、シュー!!」


 ナギの叫びでハッとした。


 確かに、夜の闇に紛れて視認しにくかったが、斬撃が黒い波動となって、木々の枝葉を切り裂きながらぼく目掛けて突き進んできていた。


「う、うわあっ!?」


 とっさに高度を落とし自由落下を行う。

 ほんの数センチ頭上を、ヴンと鋭い音を立てて波動が通り過ぎていった。


「な、何だ今のはっ……!?」


「コイツ、元からアホみてーに強かった上に……今は妙な力まで会得してるみてーだなっ!!」


 リンがぼくに注意を向けているうちに、ナギが後ろから斬りかかっていった。

 しかし、リンはそちらに一瞥もくれることはなく。


「ンなっ!?」


 木々に覆われた薄闇の中、リンの背後で一段と濃い闇が盛り上がったかと思うと、それは剣を形取り、ティルヴィングにより一撃を受け止めた。


「影使いッ!?」


「邪魔を……するなッ!!」


 振り向き様、リンが得意としていた回し蹴りがナギの横っ腹を直撃した。


 重い一撃だった。

 まともに直撃を受ければひとたまりもないだろう、あばら骨を何本も持っていくような鋭い蹴りだ。


 もちろんそれは、前述の通り“まともに直撃すれば”の話だが――


「へへっ。そう来ると思ってたぜ」


 突き出した足が戻らず、リンもその異変に気がついたようである。

 リンの細く長い足には、地面を這っていた蔦が、まるで意思を持ったように巻きついていた。


「こんなものッ」


 すぐさま剣で蔦を叩き斬ろうとするリン。

 しかし、その右腕にも木から伸びた蔦が絡みつく。


「こ、これはっ……!?」


「悪いな。これが“ゆうしゃパワー”ってやつだぜ。お前にゃ聞きたいことが山積みだからよ、ちょっとの間、眠っててもらうぜ」


 憎々しげな目で、リンはナギを睨みつけた。

 リンの背中の影が、再び刃をかたどって盛り上がる。


「そんな暇は与えねーよ」


 しかし止めを刺すように、一本の細い蔦がリンの首に絡みついた。

 既にリンの四肢は、周囲の蔦によって縛り付けられている。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ