第3話 伝説の剣と伝説の山賊―11
「おーっす! すっきりしたぁぁぁぁぁ!!」
いきなり部屋の扉がぶち破られそうな勢いで開いたので、ぼくはショックで窓際まで吹っ飛んでいった。
「ん? なんだ二人してビビった顔をして」
「ふ、ふざけんな、人の部屋に入る時はノックくらいしろよ!?」
「人の部屋って、そもそも俺たちの部屋だろ? ここ。なんか俺、変なことしたか?」
キョトンとした表情のランドに対し、ナギは心底重たそうなため息をついた。
そして、ぼくに向けてチラッと目配せをする。
夜の計画に向けてあまり余計なことは言えないと、気を取り直したようである。
「そうそう、ようやく二人きり……まぁ、空飛ぶ子ブタさんもいるけどな。二人きりになれたから、折り入って頼みがあるんだ」
「はぁ? なんだよ気色悪い言い方して」
次の瞬間――ランドは実に俊敏な動作でナギに飛び掛ったかと思うと。
「なッ――!?」
その直前で着地をし、流れるような動作で美しい土下座を完成させた。
「頼むッ!! 俺を男にしてくれッ!!」
「はあああああああああああああ!? やっぱ気色わりぃ!!」
この後――迫り来るランドに対し、お尻を押さえたナギが逃げ回る追いかけっこが十数分続いたので、結論だけ説明することにする。
***
「つまり、生まれてこの方、山賊稼業しかしてこなかったランドさんは、勇者に仕える戦士として人生を変えてみたいと……そういうことですね?」
完全に息を切らしてへばっているナギの代わりに、ぼくはランドが走りながら話していた内容をまとめてあげた。
「おうよ!! 勇者様の噂を聞いたときによ、俺ぁこれしかねぇと思ったんだ! 人生の一発逆転にはよ!!」
ぐっと拳を握り締め、ランドは熱く語り出す。
どうでもいいけど、全然息が切れてないこの人の体力すごいな。
「なあいいだろ!? ほら、勇者様のパーティには、戦士と魔法使いが鉄板じゃねぇか! デンスちゃんは多分魔法使いだし、その枠まだ空いてんだろ!?」
「いや、あんたがついてきたら完全に悪役ご一行になるし。遠慮しとくよ」
「あぁぁぁん!?」
ランドは行き場を失った拳を、思い切りベッドに叩き付けた。
普通に怖いぞこの人。
「いやマジで……ついてこなくていいから」
ようやく分かったランドの目的だが、そもそもぼくらの旅に同行することが目的だったようである。
木の上で呟いていた、可愛がってやるとかいうセリフは……まあ、一応間違ってはいないのか、そのままの意味で。




