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第3話 伝説の剣と伝説の山賊―1

 夜、フクロウの声や虫の合唱が響き渡る、野道の途中で。

 ぼくらは焚き火を囲んで乾燥肉を炙りながら、これまでのこと、そしてこれからのことについて語り合っていた。


「ですから、私たちが使う魔法というのは、精霊の力を行使することによって発動するのですわ」


 声高に魔法の説明をしているのはデンスである。


「精霊には色々な種類がいるのですけれども、基本は地水火風、四大元素とも呼ばれるものが有名ですわね。そして、大概の人間には相性のよい精霊がおりますの。私の場合は、それが火の精霊、サラマンダー。だから火属性というわけですわ」


 ためになる話に、ぼくはふんふんと何度も相槌を打った。

 一方ナギはというと、膝を抱えた姿勢で、すぴーすぴーと安らかな寝息を立てている。


「世の中には、精霊を見ることが出来て、自在にその力を操る“精霊使い(シャーマン)”という人たちもいるそうですけれど……基本、私たちが使う魔法とはそのプロセス自体が違っておりますの。ですから、トゥルスティーン!」


 唐突に名前を呼ばれて、ナギは驚いて起き……るはずもなかった。

 だって、名前自体が違うのだから。


「ちょ、ちょっとナギ、デンスがすごい顔をして睨んでるよ」


「ん……んあ? まだ続いてたのか? さっきの話」


 耳元で教えてあげると、ナギはあくびをしながら大きな伸びをした。


「あなたが多種多様な魔法を使えるのは、おかしいことなのですッ!! 私が、あなたに魔法の才能で負けているなんて……私は認めませんわよ!」


「なんかライバル視してるみたいだよ、ナギ……。あといい加減、本名を教えてあげたら?」


 ナギは自らのことを勇者とは自称しても、“ゆうしゃパワー”のことについては一切触れていなかった。

 他人に教えない理由は、一日三回までの制限など、知られたら弱みになるようなことが含まれているから、と前に聞いたことがある。


「まあまあお嬢ちゃん、そういう話は明日すりゃいいじゃねぇか! 今日はもう遅いし、明日に備えて寝るぞ! いいな?」


 そうデンスを宥めたのは、髭もじゃ面の大男、ランドである。

 毛皮のベストを羽織り、太い手足や頬には無数の古傷が刻まれている。


 まさに荒くれ者、まさに山賊の首領の出で立ちのランドだが、一緒に焚き火を囲んでいると、まるでぼくらの仲間のようだった。


 ――その手を、後ろで縄で縛られていなければ。

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