幕間 9
ぼくたちはいつも一緒だった。
幼稚園からの幼馴染で。
学校へ行けばいつも一緒につるんで。
ケンカをしたこともあったけど、いつも勝つのは凪の方で、ぼくは泣かされてばかりだった。
ぼくたちはいつも一緒の――三人組だったんだ。
***
その関係が動いたのは、中学生生活、最後の夏休みのことだった。
せっかくの夏休みだというのに、ぼくらは高校受験のための夏期講習を受けていて、結局のところ、いつもの三人で行動を共にしているのだった。
「あーあ、毎日毎日勉強ばっか。クソつまんねー夏休みだな」
夕暮れ時、コンビニで買ったアイスキャンディーを食べながら、ぼくらは繰り返しでしかない退屈な日常について駄弁り合う。
「でも、凪は別に塾に来なくてもいいんじゃない? 成績だって学年トップだしさ。どこの高校にだって行けるでしょ」
「そりゃ、高校だったら選び放題だろ、実際。だけどお前、まさか高校に入ることが人生の目標じゃないよな?」
凪の質問に、ぼくはえっ、と驚いて、溶けかけのアイスキャンディーを落としてしまった。
「じゃあ、凪の目標は何なの?」
くすくすと笑いながら、彼女は言った。
涼やかな声だ。
その端麗な容姿を見るたびに、ぼくはこの二人と一緒に居ることが、身分不相応なことなんじゃないかと不安になる。
「世界征服」
冗談みたいな言葉。
だけど、そう言った凪の瞳の奥は真剣だった。
蝉の声がうるさく鳴り響く。
ぼくたちはいつも一緒の三人組だった。




