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第10話 そして、勇者であるために―10

「此度の表彰式は、そもそもは竜の首を狩ったものに褒美を授けるというもの。とすれば、今冠を授けたこの男に褒美を与えるのは、なんら問題ではない」


「た……確かに。さすがシオン様だ」


「だがしかしッ!! その武勲も魔剣の力によってもたらされたものだというのであれば……その魔剣の使い手にこそ、褒美は与えられるべきもの!!」


「確かに!! さ、さすがシオン様!!」


 ……このあからさまにアホな総騎士団長さんは、王様の側にはいない方が良いと思う。


「勇者よ。その魔剣が自らのものだと主張するのであれば……あの乱入者を倒してみせよ」


 それがナギに告げられた、シオンからの“試練”だった。


「はぁ!? 何言ってんだあの王様!? だから俺が勇者だって、れっきとした勇者の子孫なんだって! これだからルクスパレスは――もががが」


 アルゼの口は、途中からハバキの手によって押さえつけられていた。

 いったい何を言おうとしたのか、気になるところだが。


「オレが勝てば……リンを返してくれるんだな?」


「ゼロゼロイチのことだろう? 無論、構わん。ただし、その魔剣はこちらで預からせてくれ……それで良いか?」


 なるほど、シオンにとっても、ティルヴィングの力は利用価値があると考えているらしい。


「初めからそう言ってろよ……まどろっこしいことさせやがって」


「我は貴様に、盗人の汚名を晴らすチャンスを与えてやったのだ。感謝したまえよ」


 どこからどこまでがシオンの計算ずくなのか、分からなくなってきた。

 しかしこれで妙な協力関係が出来た以上、シオンと事を構える必要もなくなったというわけだ。


 ……だけど、気になるのは。


「ねぇ、アルゼの話は、本当なの……?」


 何も答えないナギに対して、ぼくはもう一度聞いてみる。

 階段を下りていくナギは、一瞬だけ振り返ると、ぼくにだけ聞こえるような声で言った。


「シュー、お前は――」


 そんな言葉、今まで聞いたこともなかった。


 寂しげなナギの目。

 小さく丸まった悲しげな背中。


 ぼくはナギの問いかけに…………何も答えることが出来なかった。


「ずっとオレの味方で居てくれるよな?」

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