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ただいまって言える場所

おかえりって言ってくれる人



廊下でメディとフレアが話し合う。


もちろん、人に聞かれたくない話を。



フレアが声を荒立てて言う。


「だってさ、あいつ何者なの?教科書の言葉が読める、理解している。そのくせ学術の存在を知らない。何なの?」


対するメディは冷静で。


「まぁまぁ。あの子絶対悪い子じゃないよ。」



「その無邪気さが怖いのよ!無意識で学術使えるのよ。あいつが『地震でも起きればいいのに』とか言い出したらどうなるか。」


「う・・・それは・・・」



「大体あの火事だってあいつが無意識に火でも付けたんじゃないの?」


「・・・フレア、それは言い過ぎ。」


メディが静かに怒った。



「そうかなぁ」


「フレア。あなたは何を見たの?女の子に傷がなくって、あの男の子はボロボロだった。私がこれを見ただけでもあの子はどういう行動をしたかわかるわ。火とガレキの降り注ぐ中、必死で女の子を守ったんでしょ?違うの?」



「・・・うん。あいつは見ず知らずの女の子の命を助けに行くやつだ。私も見たよ」


「でしょ。たとえね、そんな力があったとしてもあの子は絶対に悪用するような子じゃないよ。」



「わかった。ごめんねメディ。」


「ふふっ、よしよし。ぎゅー、する?」



「うん。大丈夫。」


「ふふっ、まぁわからなくもないよ。あんな頭のいい子、それも自分よりひとまわりくらい若い子見たら嫉妬しちゃうもんね。」



「べっ、別にそんなことないってばっ!」


「はいはい、じゃあもどろっか。」



メディとフレアは廊下を後にした。



☆ ☆ ☆



ガチャリ



「ただいまー、って、何してるのよ。」


フレアが扉を開ける。


そこにはベットいっぱいにメモ用紙が散らばっていた。


「あっ、お帰りなさい。」


「あのね、あのね! 私ね、お兄ちゃんに勉強教えてもらってたんだよ!」


嬉しそうなシャーリーを見て、今までの悩みや葛藤がどこかへ飛んで行ってしまった。


メディがやさしく言う。


「へぇー、偉いね。勉強してたんだ。」


「そう!でね、私がお兄ちゃんにね、文字を教えてあげてたんです!」



なんだこれは。


「ぷっ・・・あははははは!!」


突然大声で笑い出したフレアにみんなが驚く。


「どうしたのフレア。可笑しかった?」


「いやぁ、ごめんごめん。なんかさ、微笑ましくって。」



フレアがキュウに寄る。


「ねぇ、キュウ。ひらかたきゅう君。君はどこから来たんだい?」


それは、優しくて、興味津々な、そんな言葉だった。


「えっと…多分、こことは違う世界から。」


シャーリーとメディは驚いた。


「お兄ちゃん、違う世界からきたの!?」


フレアがふぅとひと呼吸入れる。


「…だろうねぇ。なんかそんな気がした。信じるよ。」


その言葉に一番驚いたのがキュウだった。


どういう理解力をしているんだ、この人は。


僕みたいな人がほかにいるのかと。


悟ったようにフレアが続ける。


「いやね、その教科書とか、私が持ってる化学本は、全く未知の言葉で書かれていたんだよ。そういう本は異世界から流れ着いたんだっていう話でさ。実際に学術なんてあるわけだ。だから本と一緒にそれを読める人間が来ててもおかしくはないかなって、ファンタジーでメルヘンなこと昔考えてたわけよ。」


キュウが答える。


「俺、最初はこの世界が夢の世界かと思ったんです。 でも、明らかに夢じゃない。太陽は眩しいし火は熱かった。抱きしめたときに人のぬくもりを感じた。」


「・・・帰れるのか?」


「わかりません・・・でも、帰りたいとも思いません。」



そう、だって、向こうの世界で湖に身を投げ入れて、自殺したはずだ。


帰りたいはずがない。



フレアが言った。


「・・・まぁ、ここにしばらく暮らすってんなら、その名前を変えること。あとは家も服もないだろう・・・ウチに来るか?」


「・・・えっ?」


キュウは自分の思考処理が間に合わなくなっていた。


「シャーリーちゃんも、家族も家もなくなっちゃっただろう?国から補助金は出るだろうけど、よかったらウチで一緒に暮らさないか?」


「えー!フレアずるい!シャーリーちゃんは私が引き取ろうと思ってたのにっ」


メディがフレアに文句を言う。


シャーリーは自分の考えをはっきりといった。


「あの、ありがとうございます。・・・あの、私、キュウさんと、きゅー兄ちゃんと一緒がいい! お願いします!」


キュウの思考回路はショート寸前だった。


「ま、まって、こんな美人のお姉さんたちと一緒に、暮らしていいんですか?」


メディがニヤニヤと答える。


「あらまー、美人だってよフレアちゃん。てか君もおませさんだねーエッチだねー。」


いやいや、この年齢の男性は普通だと思うんですけどいかがなものでしょう。


「お兄ちゃんエッチなの?」


「うわぁシャーリーちゃん聞かないで!ダメ!」



「でぇ、けっっきょくどおするの? 2人とも来る?ウチに?」


「よろしくお願いしまーす。ねっ、いこう?お兄ちゃん!」


「う・・・はい。よろしくお願いします。」



こうしてフレアさんの家に居候することになった。


一気に姉と妹ができた・・・のかな?


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