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名前+カクテル+花

名前+父親姓+母親姓

「で、落ち着いた?」


メディが青年に話しかける。


「はい、おかげさまで・・・」


少し恥ずかしそうに答えた。


ひときしり泣いた。咽び泣いた。


感情を爆発させて、少し落ち着いてきたところで、胸が柔らかくて気持ちいいなとよろしくないことを思ってしまった。


「それで、君の名は?」


「はい、えっと、俺、平方究って言います。」


フレアが顔をしかめる。


「ヒラカタキュウ・・・?本名は?」


「本名がそれなんです。」


メディもフレアも不思議そうな顔をした。


「あぁ、馴染みなかったらキュウって呼んでください。」


「OK.キュウね。よろしく。で、この子の名前は?」


フレアが隣で寝ている少女に目を運ぶ。


俺に聞かないでほしい。


「なんていうんでしょうね、知りません。」


メディが驚いた顔をする。


「えっ、本当に知らない子を助けに火事の家まで飛び込んだのか。」


「えぇ。てか火事は大丈夫なんでしょうか?」


メディが答える。


「えぇ。火事は軍が来てるから大丈夫よ。ちなみに私もフレアもお城ではお偉いさんなのよ?」


「えっ!?本当ですか?!」


「こらメディ、余計なこと言わないの。」


メディは構わず続ける。


「もしかして異国の方かな?ウチの国はね、水道が発達してるし町中に消防隊の駐在所もあるのよ。しかも国営。」


フレアが説明をフォローする。


「何で国営なんだって顔したわね。いいよ、教えるわ。火災の時さ、周りの建物に火が回らないように周囲の建物を破壊したりするでしょ?あれを民間でやってしまうと、壊された人の家が困っちゃうでしょ。そこで国が介入して、責任と損害を持つわけよ。あと火事場ドロボウを防ぐ意味もあるかな。」


「まぁあとは専門家に任せましょう。二人が無事そうなら私は現場に戻るわね。じゃあフレア、あとはよろしくね。」


到着時の怪我人は俺とこの少女だけだったが、消火活動や今後の火の回りによってはどうなるかわからない。


メディもこれから現場で職務を全うするのだろう。


「メディさん・・・ありがとうございました。助けていただいて・・・」


「馬鹿、お礼はフレアに言いなさい。自分の体は大切にしなさいね?」


そういうとメディは部屋を出ていった。


「あーあ、あそこにだけ雨でも降ればいいのにな。」


ふと独り言がキュウの口から洩れていた。



そういえば、どうしてフレアさんはあの炎の中無傷だったんだろう。


「フレアさんは魔法でも使えるんですか?」


「ふっ・・・魔法?あるわけないじゃないそんなの。」


高らかに笑いやがった。


残念だな、異世界のようなこの世界。魔法やドラゴンくらいいるかと思ったのに。


「ドラゴンならいるでしょう。」


「いるんですか!?」


「君はどこの国から来たんだ?頭は悪くないようだけど一般常識に欠けるな。」


フレアさんは面白いものを見つけた様な、呆れるような顔をした。


「で、どうして私がケガをしなかったかだっけか。まぁ知らない人が見たら魔法のように見えるかもね。」


にやりと笑って、子供に知らないことを教えるかのように見えた。



「あれはねぇ・・・『ガクジュツ』よ。」

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