表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/31

前時代の遺物

 ヘルトリンク教授はもちろん石より草。自分の手元のアムリタ草に夢中だ。

 

 僕とクレイブ兄さんだけが、そのまま歩いて行く蜥蜴少年に付いて行く格好だ。

 歩いて行くと、石に凭れたり、寝そべる他の蜥蜴人も見かける。見た相手は、どれも大人にはなっていないような姿をしていた。

「綺麗だね」

「うん。まあ、自然物じゃなく、道具だけどね」

「え? 君達が作ったの?」

「前の住人がね」

 蹲る牛ほどもある蛇紋岩、縦に割って断面を平らにツルツルに研磨した物に、蜥蜴少年は手を置く。

「例えばほら。電波受信映像機だよ。君達の世界のテレヴィみたいな物。これで地上のことを知るんだ」

 濃緑色の中に走る白い条紋が、生きた蛇のようにクネクネ動いたかと思うと、一人の男の子の顔を映し出す。

 ああ、その男の子は!

「アァビィ」

「知り合いか?」

 クレイブ兄さんは船に乗っている所為か、年齢の所為か、彼の顔に覚えがないらしい。

「うん。僕らぐらいの年の子供みんなの友達さ」

「ラジニ。今日はまた、変わった場所にいるね」

「うん。まぁね。君はこんなふうに出て来て平気なの?」

「ああ。連中は普通の人間じゃないしね。姿は見せても騒ぎにならない。でも話も合わないから、よしあしなんだけど。たまに顔を出すんだよ、退屈紛らわしに」

「君だってテレヴィ少年じゃ、まともな人間って訳でもないだろうに」

 蜥蜴少年が、もっともな皮肉を言う。

「いやいや。人間の男の子として作り出され、普通に子供達と接している僕を甘く見ないでくれ。隔離された場所で、まともに人と接する機会さえない君達とは違うさ」

 アァビィにやっつけられても、蜥蜴の子は軽く肩を竦めて堪えた様子はない。

 アァビィは僕に再び向き直り、

「それよりそこ。大きな犬に似た生き物がいるけど? ラジニ、君、犬が駄目じゃなかったっけ?」

 えっ!

 僕はギョッとして、蜥蜴少年を縋るように見る。

「襲って来る?」

「いいや。大人しいよ。猫をいじめたりもしない」

 噂をすれば何とやら。

 大きな針水晶の後ろから、獣の頭がひょこんと覗く。

 三角耳に長く伸びた口吻。開いた口からはみ出た舌は青黒い。

「犬!」

「ただの魚食うおくいだよ。人間は海狼うみおおかみなんて、名付けたりするけど」

「そういや、お前は犬が苦手だったよな。双子もあんまり好きじゃないが、あいつらは犬をからかって馬鹿にするからな」

 兄さんは、呑気なことを言っている。

 その発言にアァビィが食いついた。

「双子って、ラジニのぬいぐるみにもひどい扱いをする奴らだな。確か寄宿学校で暮らしていると言ったね。それらしい奴らは、見つけてあるんだ。もしラジニの兄弟じゃなかったら悪いと思って、悪戯を仕掛けるのはよしてるんだけど」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ