表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/31

安定の島

 一応クインセイレン号の船員も、何かあった時の為に長銃を構えて備えている。

 植物は動いたりしなかった。

 ヘルトリンク教授は植物に近寄り、棒で叩いてみる。やはり動く様子はない。中身は詰まっているらしく、カンと良い音がした。

 教授はポォチから道具を取り出し、その植物を調べ始めた。

 

 グラッドストン教授は、縄を持って近寄る。

「うむ。やはり胞子植物」

 ナイフで薄片を取りガラス板に載せ、単眼鏡で眺め。

「毒性の有無が分かるまで、素肌で触れないように」

 グラッドストン教授に、注意する。

 グラッドストン教授は大人しく軍手を取り出して填めて、縄を植物の幹に掛けた。直径は、四十センチほど。

 船員が手伝って、しっかり結べて外れやすい船乗り結びにする。

 ヘルトリンク教授は簡易検査キットを使って、毒の有無を確かめた。結果は、

「既知の毒性は見つかりませんでした。ですが、無暗と触れない方がいいですね」

 それは理想で、冒険の現実ではない。

 言っているヘルトリンク教授にしてからが、他の植物を求めて胞子植物の林に進み出て行くのだから。

 それに船乗り達。

 臆病でもないし、愚かでもない。ただ現実を知っている。

 難破してようよう無人島に上陸して水や植物性の食べ物、動物性の食べ物を探した経験のある人もいるようだ。

 糞や足跡、食べ後などの、生き物の気配を探っていく。

 

 グラッドストン教授が、島を眺めやりながら、ポツリと呟く。

「これは安定の島だな」

「安定の島?」

「科学好きの少年の君なら、知っているんじゃないかな。天然に存在しない重い元素ほど、人工的に作っても長持ちしないことを」

「知っています。安定の島と言う領域にあれば、崩壊までの時間が伸びると言うのでしょう」

「それぐらいの確率で、作り出されて保たれている奇跡に思えるよ」

 確かに。

 マントルの下の地下空洞の中の海と島。奇妙な植物に魚も。

「とりあえず私はそれほどすることも、できることもないから、ここでピクニックと洒落こむ用意をしないかね」

「はい」

 僕は文句の付けようもないので、大きく頷く。


 教授は、GLR号から食料をたっぷり詰め込んだバスケットを運び下ろす。僕は待っていられずに、

「教授。中身は何ですか?」

「君が現れるほんの少し前に焼いた、トルティイヤサンド。玉蜀黍とうもろこしの粉を溶いた生地で、様々な具を巻いた物。例えば、香料入りヨゥグルトに漬けこんだ鶏肉のケバブに、炒めたライスとチィズ、トマトの辛いサルサソォス。おやつにも保存食にもなる堅焼きのビスコッティ、プレェンにナッツやチョコチップ入りに。飲み物は黒麦酒くろビィルだが、君は当然、ジンジャアエェルだよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ