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上陸

「当然、長銃は用意するし、危険がないよう注意もするがね」

「ラジニ君。君は怖ければ、安全が確認されるまで船に残りなさい」

 グラッドストン教授も何だかんだと、気が逸っている。


 どんな危険があるか分かりませんと言われて引き下がっていたら、冒険は有り得ない。だが安全に安全を期し過ぎて、調査のできる貴重な時間を失ってもいけない。

 危険を無視している訳でも無謀な訳でもないが、行くべき時はあるだろう。

 なので僕は、

「行きますよ、僕も」

「弟が行くなら、俺も最初のボォトに乗せて下さい」

 船長は構わないと認める。

「あ、俺も」

「ジョゼ。お前は当番じゃなくても、船に残るんだ。お前は、完全に安全だと分かるまでは駄目だ」

 ジョゼも名乗りを上げるが、こちらはきっぱりと退けられる。

 ジョゼは不貞腐れるが、どれだけ駄々を捏ねてもこれは覆らない。

「チェッ。他の生き物にやられる子猫だって、いるだろうに」

「猫は、九つの命があるから大丈夫さ。俺もラジニも、魂一つたりと失っちゃいない」

 クレイブ兄さんは、そんなふうに慰める。

 ジョゼも冒険をしたくて不満気だが、それでも僕に、気を付けろよと言う。

 

 もちろん。

 僕だって、危ない目に遭いたい訳じゃない。

 気を付けられる部分では、しっかり気を付ける。

 

 僕が今度は最後に小舟に乗り込んだ。

 船外機は使わず、グラッドストン教授が櫂を漕ぐ。やがてGLR号舟の底が、砂地にぶつかって舟が止まる。

 後からボォトを下ろしたクインセイレン号だが、全員本職の船員なので、海に関することなら何をさせても素早く滑らかだ。

 僕らが降りる支度をするより先に、ボォトを島に付けた。

 

 危険があってすぐにボォトを出さないといけない時の為に、ボォトはどちらも陸に上げなかった。

 クインセイレン号のボォトは、錨を浜に投げて重しにする。

 僕らのGLR号は綱で括ることになるが、括れそうな物は浜の奥に生えている白い植物しかない。それだけの強度があるかも分からない。

 ヘルトリンク教授は護謨ゴム長靴を履いた足でジャブジャブ波を掻き分けて、片手に舟のブレェキとした棒を持ってさっさと植物に近付いていく。

 僕は気が気じゃなくて、

「ヘルトリンク教授。気を付けて下さいね」

「食肉植物に襲われたのは、まだ三年ほど前のことに過ぎないよ」

 植物は一本一本を近くで見ると、スティックブロッコリィみたいだ。

 椰子の幹みたいにヒョロ長くて、てっぺんが雲を載せたようにモジャモジャしている。

 

 ヘルトリンク教授も何も考えていない訳ではなく、空いた手で砂を掴み手の中で砂を揉んでついでに砂の様子も確かめた後、植物に投げつけた。

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