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000.◇彼女の終焉と物語の始まり
進む。
360度全方位に溢れる敵の中を掻き分けるように。
進む。
私たちの世界を脅かす、〝世界の敵”を打倒するために。
進む。
敵の中心、最奥、致命の急所に、致命の一撃を加えうる戦力を。私の〝兄弟たち”を届けるために。
進む。
それだけが、私が生まれる前から私に与えられた、私の役目だから。
例え敵に取り囲まれようと押し戻されようと打ちのめされても押しつぶされても、進む。
そのための機能を、〝父さんたち”が授けてくれたから。
私は私の役目を果たすため、進む。
そうして私は役目を果たし。兄弟たちが見事に敵を打倒して。
私たちは世界を救った英雄となり。
―――役目を失くした私たちは、〝世界”から「不要」と捨てられた。