MISSION1 Start
[????]
私は、ただ見ていた
いや、見ているしかなかった
私が愛し、私を愛してくれた親を
その親と過ごした、ぬくもりがある家を
共に遊び、そしてその最中にお菓子などをくれた友達やその親たちを
私を受け入れてくれたこの村を
自分の大切なものが壊されていくのを
見ていることしかできなかった
だから覚えている
わたしから大切なものを奪った”やつ”を
燃え上がる炎の中に立ち
血が付いた剣を両手に持ち
無表情で立っている”やつ”の姿を
だから、私は決めたのだ
必ず”やつ”を見つけ出してやる
そして、
必ず”やつ”を殺してやる、と…
[二〇四五年 一月四日]
「これより、二〇四四年度国際訓練学校卒業式を挙行する。」
国際訓練学校副司令官がそう言った。
==今日は、私にとって門出の日だ。==
==いや、私達にとってと言うべきだろう。==
==今この場には五〇〇人程が集まっている。皆出身国は違うし、皆将来歩む道もばらばらだ。==
==この式が終われば、各自の道に従って祖国に帰ったり、新たな土地に移動したりする。==
==私も勿論決まっている。それを叶えるために、私はここに入りこの三年間の訓練をこなしてきた。==
==そう、すべては“あの目的”を叶えるために…==
「諸君、卒業おめでとう。」
そう考えている最中にある声が聞こえてきたことで私は意識を現実に戻した。
どうやら、式が始まってからずっと自分の世界に入っていたらしい。
こういうのは直さないと、と心で決めながら私は壇上にいる声の主に目を向けた。
声の主は、この国際訓練学校総司令官==昔でいう学校の校長先生にあたる==である中神 源一郎だった。
「諸君らはこの三年間の訓練を通して、皆の希望する道の出発点にようやく立てたと言える。これからが本番であり、訓練よりも厳しく辛い道である。そして、その中でまた諸君らは自分自身を成長させなければならない。無論身体的にも精神的にもだ。この三年間で諸君らがつくってきたのは、これからを生き抜くための必要最低限なものだ。そこからどう成長させていくかは諸君ら次第だ。成長のさせ方で諸君らは今と大きく変わることができるだろう。諸君らが自分の思うを道を信じて進み、今と変わった諸君らが見れることを楽しみにしている。」
そう言い敬礼している中神総司令官に対して我々も敬礼した。
中神 源一郎==過去日本軍に所属し数々の功績をあげ、あの第三次世界大戦でも最前線で戦っていた、いわゆる”猛者”である==
いつも感じるけど、この人が話す言葉はいつも重みがある。一度聞いてしまうと、どんなに時間が経ちようともその言葉は一言一句忘れることがない、いつでも思い出せる。
このような感覚はこの人だからこそ出せるものなのだろうと、私は素直に思った。
「以上で式を終了する。これよりは各自式前に配信された電子メールに記載されている場所に移動するように。それでは解散!」
全員が動き出したのと同時に、私は自分の携帯端末を開き、今朝配信された電子メールの内容を確認する。
電子メールには「式終了十五分後までに第八発着ハッチ口に集合」と書いてあった。式会場を出て、急いで発着ハッチがあるエリアに移動する。移動する際中に窓からふと、座学を学んだ建物や訓練を行ったグラウンドや森などが見えた。少し寂しさを感じたが、今はそれよりもこれからの緊張感や高揚感の方が高かった。この緊張感や高揚感が急いでいる足をさらに急がせた。
第八発着ハッチ口に繋がる連絡通路の入口の隣のタッチパネルにアクセスコードを入力し、扉が開いたので中に入る。連絡通路はそこまで長くないので、一分程歩けばすぐ発着ハッチ口に着いた。
大きな移動用飛行機の前に、一人の男性が立っていた。
私はその男性の顔を見て、「この人だ。」と心の中で確認した。
この男性を私は知ってる。むしろ私はこの男性に会いたかったのだ。
==ようやくここまで来た==
男性は私の顔を見て、微笑みながら言った。
「君が最後の一人だね。」
その声音は今までの緊張感などを一瞬にして無くさせるような優しいものだったが、逆に私は今まで以上に緊張感や高揚感があがっていた。
==私は、この人と、この人が率いる隊と…==
==”やつ”を見つけ出し、殺してやる!==
男性は先程と変わらない声音で自己紹介をした。
「初めまして、日本所属第三十軍隊隊長 天御門 隆平です。」
[筆記事項]
[二〇四五年一月四日:天御門隆平率いる第三十軍隊に新入隊員十名が入隊]
はじめまして
ちょっとした趣味のつもりで載せていただきました
文章など下手くそですが、読んでいただけたら幸いです