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「僕の底を知らないくせに、本質だのなんだのを語るなよ、スメラギ」
言葉に反応してあげられたスメラギの顔に、余裕の笑みはない。
「……なぜ、動ける?」
驚愕に染められた瞳に目を向けながら、ナイトダイバーはスメラギへ歩を進める。片手で口元の包帯を下にずらし、顔を露わに。
「お前が言ったんだろう。僕はナイト・ダイバーを狩るもの、ナイト・ハンターだと。それは、間違ってはいない。その通りだ。僕はナイト・ダイバーを狩り、そして──狩りのあと、普通の生物は何をする?」
ナイトダイバーの返事は、問いの答えにはなっていない。それでも意味を理解したのか、スメラギは表情を凍らせ、逃走──
「確かに僕は失敗作だったみたいだ」
できなかった。ナイトダイバーから伸びた包帯がスメラギの体を縛り、安物のカーペットに叩きつける。
黒をまとい、白い顔を露わにしたナイトダイバーは、口元に笑みを浮かべながらスメラギに歩み寄り、
「お前が造ったのは、自分自身の天敵なんだから」
夜のオフィスに赤が飛び散った。