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あいつだ、と優菜は思う。昨日、掲示板で語られていた、あいつだ。しかし、何もできない。彼女はナイトダイバーに何かを知らせる術を持たない。持っていたとして、目の前の存在がそれを許すとは思えない。
それ以前に。
もし仮に、ナイトダイバーとコンタクトが取れるとして、彼が来ればこの状況を打破することはできるのだろうか?
「申し訳ないが、君には餌になってもらいたい」
餌。その言葉に優菜の肩が跳ねる。人をさらったナイトハンターが、人をどうするのかは、いまだに分かっていない。
食われるかもしれない。予測が少女の体を縛る。しかしその恐怖は、次の一言で全く別のものに変更された。
美しくも不気味な顔が、歪んで、ひしゃげて、笑みを作る。
「ナイトダイバーを釣るための、餌にね」
優菜の口を押さえた方とは逆の手で、人外は優菜の頭に手を伸ばし──




