第5話
「ただいまー」
一日終わって家に帰宅。
今日はずっと頭をペコペコ下げられた。
気持ちはいいけど、ずっとっていうのはねぇ。
なーんか変な感じ。
初日なんだし、当り前か。
今のうちに気に入られたいって考えてるのかな。
あたしも昔はそうだったし。
女王のお気に入りは、特典いっぱいだからさ。
いろいろと便利。
次期女王も夢じゃなくなるし。
あたしは単純に桜様が好きだったから一緒にいたんだけどね。
「おかえり。さ、ご飯食べようか」
この男の人はあたしの叔父さん。
お父さんじゃなくて叔父さん。
お母さんの弟なの。
ちなもに名前は幸弘さん。
あたしのお母さんとお父さんは5年前に他界した。
不幸な火事だった。
隣の家の人の寝たばこが原因で、あたしの家に燃え移った。
あたしは一人になっちゃった。
そんなときに幸弘叔父さんがあたしを引き取ってくれた。
幸弘叔父さんはまだ結婚してないから、あたしと2人暮らし。
これはこれで満足してる。
叔父さんはあたしが不良なのを知ってる。
知ってるけど止めない。
止められてもやめる気はないけどさ。
なんでだろーね。
「あ、きんぴらごぼうおいしい!」
「この、ほうれん草もおいしいよ」
見ての通り、裕福とはお世辞にも言えない。
だけど、あたしはこれがいいの。
だって、楽しいもん。
こんなご飯でもおいしいもん。
……すくなくとも、1人になることはないから。
1人ぼっちはもうやだ。
誰かと一緒に暮らしたい。
だからあたしは大満足。