第19話
「みんな、よーく聞きなさい!1回しか言わないから
ちゃんと聞きなさいよ。何があっても聞き取るのよ」
あれから2日後。
つまりは、明日あたしは養子に行く。
この学校で過ごす最後の日。
もうすぐ6時。
皆が帰りの用意を始めたころ、あたしは話を切り出した。
みんなをこちらに注目させる。
よし、全員こっち見たな。
ちゃんと言うことにした。
みんなにちゃんと言うことにしたの。
転校のこと。
言わずに行くなんてあたしらしくない。
みんなだってきっと怒る。
だから、言っておくことにしたの。
みんな驚くだろうな~。
「あたし、転校することになったの」
シーンと静まり返った音楽室。
あたしは余裕を見せつけるかのように話しだす。
「だから、女王の座は降りさせてもらう」
目を見開いてあたしを見てる。
煙草の灰をポロッと落とす不良たち。
ほんと面白いわね。
「あたしが次の女王を決めさせてもらう」
誰も、何も言わない。
あたしの言葉を待っている。
あたしにはそう見えるから話を続ける。
「次の女王は……」
あたしはあの子を指差した。
すっごく驚いた顔をしている。
驚いた、なんてレベルじゃない。
そりゃそうよね。
あたしがいきなり話を進めていくんだもの。
だけど、事実なのよ。
驚かないでちょうだい。
あたし、もう決めちゃったんだから。
何を言われても、戻る気はないんだから。
だから、あなたもいつもみたいにかわいく笑いなさいよ。
最後にあなたの笑顔を見せてよ。
それだけであたしは頑張れるんだから。