表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/37

第18話

「これ、どうぞ。髪止めのお返しです」


月夜は紙袋をあたしに差し出した。

あぁ、前にあたしがプレゼントしたやつか。

今日は付けてないけど、いつもつけてきてくれる。


「開けていい?」


月夜がうなずいたのを確認して、紙袋を開ける。

丁寧にシールをはがして中身を取り出す。

この感触は……。


「ハンカチ?」


予想通り。ハンカチだった。

紫色で、端には黒猫のシルエットの刺繡。

白いレースがついたかわいいハンカチ。

月夜らしい趣味……。

でも、すっごく嬉しい!


「ありがとう!月夜。大事にするわ」

「私も髪留め、大切に使っています」


月夜はにっこり笑う。

ホント、美人だな~。

うらやましすぎるんだけど。

百合も百合でめちゃくちゃかわいいし。

従姉妹って似るんだねぇ。

仲もいいみたいだし。

いいなぁ。

従姉妹って。


「そろそろ、音楽室へ行きましょうか」

「そうね」


百合は弁当箱を風呂敷で包み立ち上がった。

月夜もたって制服をただす。


「私は放課後行きますね」


百合とあたしは音楽室へ。

月夜は自分の教室へと向かった。


月夜もさすがに授業をさぼるのはいやらしい。

ま、不良ってわけじゃないしね。

そう考えるのも当り前か。


音楽しての中はやっぱり煙くさい。

換気ぐらいしなさいよ。


「あ、すんません」

あたしが窓を開けていると、原田が手伝ってくれた。

原田は気がきくし、いいやつだと思う。


「もうすぐかぁ」

あたしは窓から身を乗り出して呟く。

……もうすぐ、だ。

どうやって切り出そうか。

転校のこと。

それとも、言わずに行こうか。

何も言わずに行こうか。

次の日からドロン。

それもいいかもね。

言わなくてもいいんだし。


あたしにはそれが一番いいような気さえしてきていた。

そう、何も言わずに一人で行くの。

いいじゃない、それで。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ