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第17話
「千影様。最近元気がないです。どうなさったんですか?」
昼休憩、外で幸弘叔父さんが作ってくれたお弁当を
つついている真っ最中、百合は唐突に聞いてきた。
「そんなことないわよ」
あたしは笑ってみた。
それでも百合は心配そうな顔をする。
「私もそう思います」
あたしの右でサンドイッチにかぶりついていた月夜も
口を出す。
あらやだ。なんでわかったの?
もしや、バレバレ?!
エスパーか。
エスパーなのか?!
「違うわよ。最近寝不足なだけ」
あたしは卵焼きを口に放り込んだ。
幸弘叔父さん特製の卵焼き。
これも食べられなくなるのかぁ。
残念だな~。
あたしはみんなにはギリギリまで言わないことにした。
転校のこと。
結局あたしはお嬢様学校「桜ヶ丘女子中学校」っていうとこに
転校することになった。
みんな知ってる有名な学校。
春だし、区切りもまぁまぁいいしね。
わかってはいたけど、息苦しそうなところ。
ここがいいな。
ここにいたいな。
でも、それは叶わないんだよね。
あたしが決めたことなのに。
どうしてこんなにも苦しくなるの?