第11話
「どっちでもいいわ。説明しなさい」
あたしは2人を交互に見た。
とにかく、説明をしてほしかった。
どうにかして理由を聞きたかった。
こんな状態の月夜に説明は無理。
わかってるけど一応言ってみる。
「百合が説明します」
やっぱり、百合がやることになった。
ま、これはどっちがしてくれても構わない。
話さえ聞ければね。
「最初に言おうと思ってたことも関係してきます。
千影様もわかってるでしょうが、月夜はハーフです。
父親は日本人ですが、母はヨーロッパ系なんです」
ヨーロッパ系か。
それで金髪に青い目なのね。
「月夜の母は月夜が7歳の時、借金を残して家を出たそうです」
その瞬間、月夜の顔が曇った。
嫌なんだ。この話をしてほしくないんだ。
だけども、月夜は止めない。
「母がいないことや、金髪に青い目ということで
月夜は学校でいじめられてたんです」
ああ、もうだめだ。月夜は限界だ。
身体が震えてる。
思い出しちゃったんだね。
青い目がよどんでいる。
白い肌がどんどんと青ざめていく。
「それからいろいろあって……。
それで、ここでかくまってほしいんです」
なるほどね。
だいたい予想はできた。
金髪。
中学校に入ったらきっといじめはひどくなる。
当たり前だよね。
それで、川中で勢力をふるう不良軍団に入れてほしいってか。
ここに入ったら、いじめなんてなくなる。
あたしたちにはむかえばどうなるか知ってるし。
それに、川中を守ってるのはあたしたちだもの。
はむかう、なんて選択肢、この学校のやつらにはない。
「百合、いったん出て行きなさい」
あたしはひとまず百合を部屋から出す。
2人で話したかった。
だいたいのことは聞いたし、席を外してもらう。
「で、月夜。あんたまだいいたいことあるんじゃないの?」
さっきからあたしに訴えかけるような視線。
言わせて、あたしにはそう聞こえた。
まだ、この子は秘密をもってる。
「わ、私……」
月夜は小さな声で呟くように言った。