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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第60話 ツナチーズパイ

 ミックスジュースを飲み終えて、さらに市場を歩く。


「やっぱり朝はいろんなところからチーズパイの匂いがしてくるんだね、これはもうチーズパイを食べるしかないって感じだよね。」


「いや、オレは今ミックスジュース飲んだから、もう朝飯は終わりだぞ?」


「だから、アタシたちは、朝は果物、その後朝食なんだってば。」


「まぁ、そんなこと言ってたな。まぁいいや。 で?またチーズパイ食べるのか?」


「うん、食べるよ。そうだ、さっき見つけた店に行ってみたいな。そこで良い?」


「まぁ、何処でも良い。 キミに任せるよ。」


「よし、じゃ、行こう。そこね、ツナのチーズパイがあるんだよ。」


「ほう、シーフード系ってことか、面白そうじゃないか。」


ネコ娘がキョロキョロしながら市場を歩く。


「あ、あった、ここ。 ほら、ツナチーズパイって書いてあるでしょ、ね?」


確かに店頭の看板にツナチーズパイって書いてあって、一緒に魚の絵が描かれてる。

ただ、魚の絵ではあるけど、ツナではなく、熱帯魚みたいな魚の絵ではあるけど・・


店に入って、席に座るとすぐにネコ娘が店員を呼んで注文を始めた。


「アタシ、ツナチーズパイとハーブティー。 貴方は?」


「あぁ、オレも同じものにするよ。」


「ツナチーズパイとハーブティを2つですね。」


店員が注文をメモした。


なぜかネコ娘がニヤっとした顔でこっちを見てる。


「なんだよ、妙にニヤけて。」


「いま、アタシと同じもの頼んだでしょ。 いつもなら孤高のレジェンド探偵は人と同じことはしないんだ、とか顔しかめてる癖に。」


「・・はぁ? 何言ってんだ。ツナチーズパイはここのおススメだろ? だからオレはそれを喰うことで、この店の魂を感じたかったんだよ。キミこそ、オレと同じもの頼むなよ。」


「アタシが先に注文したでしょ? 孤高のレジェンドさん?」


「・・ここの支払い、割り勘だからな。」


「えー、あれ? アタシが貴方の注文真似したんだったかなー? ね?」


「ね、じゃないんだよ。まったく。」


こんなくだらない、まったく意味のない会話も、案外気持ちいいもんだな。

まして、このアホネコは、一応女性だから、オレは実はリア充一直線なのかも。


いやいや、こいつ、オレより全然年上の『ネコ』だからな。危ない危ない。


「貴方こそ、なに一人でニヤニヤしてるの?」


「してない。まったく、これっぽちもしてない。」


「はい、ツナチーズパイお待たせしました。」


店員が小さなパイが3つ乗った木の皿を持ってきた。


早速頂いてみるか。 

このパイの大きさは、一口で行けちゃうサイズなんだけど、これが罠なんだ。

なにせ、出来立てのチーズパイ。これを一口で入れたらもう・・


ということで、パイを半分に割る。


湯気とともにチーズ、そしてツナの香りが立ち上がった。


パクっと口に放り込む。


お、ここのチーズはこの前の店のチーズより濃厚な感じがする。

それに負けないツナのうまみ、これは良いな。


「これ、かなり美味しいよね?」


ネコ娘が幸せそうな表情だ。


「あぁ、濃厚で良いな。 これにスパイシーが入っても良いんじゃないかな?」


「あー、それ、アタシも思った。 濃厚にスパイシー、あうよね、きっと。」


店に2人組の女性客が入ってきた。

たぶん常連客なんだろう、店員と雑談を始めた。


「いつもと同じ、ツナチーズパイ、スパイシーですよね?」


店員の問いかけに常連っぽい客は軽く手を挙げて応えた。


「なんだ、スパイシーって注文できたんだね。」


ネコ娘が顔を近づけて小さな声で言った。


「そうみたいだな、今度食べてみるか。」


オレも小さな声で答える。


「じゃ、明日また来ようよ。」

 

「そうだな。それなら明日も、あのジュース屋によってから来ようぜ。」


「気に入ったの? あのジュース。」


「不思議な苦みが妙にツボにはまったんだ。なんか健康になりそうって感じで。」


「バーボンロックのレジェンド様が健康な苦いジュースねー。」


「健康第一なのは、どの仕事でも同じ。 探偵の第一条件は健康だ。」


 ツナチーズパイを堪能して店を出て、街をぶらつくことにした。


「あ、昨日の組み紐屋だ。もう一つ買おうかな、組み紐って楽しいよね。」


「はぁ? 楽しい? やっぱりじゃれついてたんじゃないか。」


「あ、違う、言い間違えた。奇麗だよね?」


「どうやったら、奇麗と楽しいを言い間違えるんだよ。キミは素直じゃないな、認めちゃえよ、動くものが好きなだけだろ? それが本能だろ?」


「はぁぁ? 世界中で貴方だけには『素直じゃない』とか言われたくないわー。その『素直じゃない』は、そのまま熨斗つけて返したいわね。」


「あのな、オレは素直とか、素直じゃないとか、そんな例レベルの世界には生きてないんだ。やるかやられるか、魂の叫びを感じる力、それを持つ者こそがレジェンドと呼ばれ・・・」


「あっち行ってみようよ。」


ネコ娘が十字路の左を指さしてる。


「だから、人が話してる時は最後まで聞けって何回言ったら分かるんだよ。良いか、だいたいキミは・・あ、おい待てよ、一人で先に行くなよ。」


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