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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第53話 本能

「昨日は市場の中を歩いたから、今日は市場の周辺でも歩いてみるか。」


「うん、それ面白そう。」


市場の周辺にも食材、服、家具、武器、雑貨などの店が多くあった。


イメージ的には市場の屋台よりも少し高価な感じのものを取り扱ってるみたいだな。


「うわぁ、綺麗だ。 ねぇ、ここ入っていい?」


オレの答えを待たずに既にネコ娘が店のドアを開けて店に入っていってしまった。


なんだよ、勝手に入るなら、いちいちオレに聞くなよな・・。


ネコ娘に続けて店内に入ると、革紐や小さな装飾品の店みたいだ。

壁一面に革紐が飾られていて、反対の壁には色とりどりの組み紐が飾られている。


「これとかすっごい素敵だよね。 あ、こっちも良いな。」


ネコ娘が組み紐の棚の前で、珍しく少し興奮気味だ。


「ほお、組み紐か、確かに綺麗だな。」


「へぇ、これって組み紐っていうんだ。何に使うものなの?」


「さぁ? まぁ、飾りじゃないのか? 実用性はないんと思うぞ。 まぁ、無理すれば髪留めとか、装飾系の紐としては使えるんだろうけどな。」


「ふうん、飾りなんだ。 ねぇ、これ買ってよ。」


「え? 組み紐をか? だから、何に使うんだよ? 飾りの紐なんだぞ?」


「何に使うか、まだわかんないけどさ、でも、どうしても欲しいんだもん。」


「なんだそれ・・。 買いたきゃ自分で買えよ、給料もらってるだろ。」


「アタシ、昨日の夜、張り込みしたでしょ? 貴方が飲み歩いてる時に。」


「それも給料のうちだろ。 それに、オレが頭脳労働担当で、キミは現場担当だからな。」


「そう。それなら、残業代と深夜勤務手当は?」


「面倒なことを言い出したな。 探偵が9時5時勤務のわけないだろ?」


「・・でも、買って欲しいんだけどな。」


ネコ娘がオレの頬を人差し指で撫でた。


うっわ、ちょっとゾクっとしちゃったよ・・。


ネコ娘とは言え、女性は女性なんだな。まぁ、紐の一本位買ってやってもいいけど、でもなんで女性ってのはこういう実用性のない、綺麗だ、可愛いだってだけの物を欲しがるのか、全く理解できないよな。


「まぁ、一つだけだったら買ってやってもいいぞ。」


「やったー、ありがとう。どれにしようかな。」


まぁ、確かに綺麗な紐であることは間違いないけどな。


何本かの組み紐を見てるうちに、つい、1本を落としてしまった。


「あっ。」


その時だった。


パシッ!


ネコ娘の右手が電光石火の如く、もう目にも止まらぬ速さで落ちていく組み紐を横から掴んだ。


はっ! この動き! まさしく獲物を狩る時の・・ネコ・・。


「なぁ、今の動きは・・。」


「今の動き? こんなのは手が勝手に動くのよね。」


「だから、それが本能ってことだろ。・・・ネコの。 組み紐が欲しんじゃなくて、動く紐が欲しいだけなんじゃないのか?」


「ちがうよ、綺麗だから欲しいんだよ。」


ふぅん、そうかな?

ネコ娘の前で、別の組み紐を軽く揺らしてみる。


パシッ!


ネコ娘の残像しか残らないスピードの右ストレートが見事に組み紐を掴んだ。


「ふ・・やっぱりな。」


「なによ! 何か言いたいことでもあるの?」


「いや、別に何も無いさ。ふっ。」


「あ! なに、その『ふっ』って。」


「なんでもないさ。 それより決まったのか? どの組み『紐』買うか。」


「まだ決まらないよね。ってか、今、紐の部分だけ強調しなかった?」


「いや? なんのことだ? 早く決めないと、そろそろ根魚煮食べに行く時間になるぞ?」


「そうだった。ちょっと待って。」


ネコ娘の目がまた組み紐の棚にくぎ付けになる。


 ワインレッドっぽい赤色とオレンジっぽい黄色が組み合わさった、温かい感じの色味の組み紐を買って店を出たときには、もう時計の針は11時半過ぎを指していた。


「色々見てたらお腹空いちゃったよ。早く行こうよ!」


ネコ娘は軽くスキップするように速足で市場へ向かってる。


まったく、ガキみたいなネコだな、こいつは。 年は上らしいけど・・。


食堂に入ると昨日と同じ席に座った。


「あら、いらっしゃい、また来てくれたんですか?」


もちろん、昨日と同じ、小柄で少し腰が曲がったエプロン姿のおばあさんが水の入ったコップを持ってくる。


「こんにちは! また食べに来ちゃいました、根魚煮。」


「そう、気に入ってもらえてよかったわ。根魚煮と麦パンとヤギのチーズのセットですね、すぐ用意しますね。」


すぐに素焼きの深鉢が2つ運ばれてきた。

これこれ、これがうまいんだよ。


2日続けて食べるほど素晴らしい料理なのか、と言われると、そういうわけではないんだろうけど、逆に奇をてらってなく、尖ってもない素直で優しい料理なんで、飽きが来ないって感じなんだろうな。 


食べ終わって、支払いを済ませているときに、エプロン姿のおばあさんが急に思い出したらしく、しゃべり始めた。


「そうだ! 昨日の魔道具屋のマルティンさんのところ、昨日も盗まれたって言ってたわよ。」


「え? 昨日? オレ達は、昨夜張り込みもしてたんだけどな。 よし、今から行ってみるよ。」


食堂を出てマルティンさんの魔道具屋に向かった。

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