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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第50話 明朗会計

「はい、1名様ご案内ー。いぃらっしゃいませぇ!」


青法被の男がケバケバしい扉を開けて、店内へ向かって大きな声で言った。


直ぐに妙齢で生活感あふれる感じの女性、残念ながら、こういう店には全くマッチしてない、というか、近所のおばちゃん的な女性が出てきた。


「いらっしゃい、ご案内します。」


女性に先導されて店内に入ると、想像していたよりも狭く、カウンター席の他にはボックス席が2つしかなかった。


「こちらへどうぞ。」


ボックス席に案内されると、近所のおばちゃん風の女性が隣に座った。


「何飲みますか?」


え? 近所のおばちゃん風の女性がお相手なのか?


「飲み放題って何があるんだい?」


いや、飲み物のオーダー取るだけだよな? 気を取り直して聞いてみる。


「色々あるわよ、ウィスキー、ワイン。」


「・・・ウィスキー、ワイン、あとは?」


「ウィスキーとワイン、よ。」


「はぁ? 色々あるってその2種類だけかよ。 オレはバーボンをロックで飲みたいんだよ!」


「バーボンは別料金ね。」


「なんなんだ、その変な飲み放題って。まぁいいか、それじゃ、ウィスキーをロックで頼む。」


「ウィスキー、ロックね。ちょっと待っててね。」


近所のおばちゃん風の女性が席を離れた。


店内には客はオレ一人しかいない。


近所のおばちゃん風の女性がグラスを持って戻ってきて、またオレの隣に座る。


「はい、ウィスキーのロックね。 ねぇ、お兄さん、乾杯したいからアタシも何か飲み物飲んでいいかしら?」


「え? あんたが飲む? ちょっと、まずは女の娘を呼んでくれよ。 オレは良い娘がたくさん居るって聞いて来たんだぞ?」


「あら、そうだったの? ミーちゃん、ちょっと!」


近所のおばちゃん風の女性が手を挙げた。


今度は、白髪の初老の女性がやってきて、オレの隣に座った。


「いらっしゃい。ミーです。 アタシは飲み物、昆布茶を貰って良いかな?」


「はぁぁ? ここはプチキャバクラじゃないのか? 女の娘はどうしたんだよ!」


「お兄さん、面白いことを言うわね。そうよ、ここはプチキャバ、で、ラウンジレディも揃ってるじゃないの。」


近所のおばちゃんが、自分自身とミーを指さした。


「おいおいおい、冗談はやめてくれよ。まさか、あんた達2人がホステスなのか?」


「いやぁね、ホステスじゃなくて、ラウンジレディ、よ。」


「呼び方はどうだっていい。オレはあんた達と飲むために金払ってるのか?」


「幸せな時間でしょ? ほら、飲み放題なんだからどんどん飲んで。で、アタシ達も飲み物頼んで良いの?」


「ダメに決まってるだろ。ってか、もう帰る!」


「あらまぁ、飲み放題なのに1杯だけなの? まぁ良いわ、お会計、3000WD ね。どう? ウチは明朗会計だったでしょ?」


「確かに話の通りの金額だけど、そもそも、ここはプチキャバクラでもなければ、良い娘がたくさん居るってのも違うし、根本的に間違ってるじゃないか。」


「そう? それはお互いの見解の相違よね?」


確かに、ここで揉めたところでオレを正当化する法的根拠は全くない。

高い勉強代だと思って3000WDを払って店を出た。


とは言え、腹の虫は収まらないんで、あの客引きに一言文句言ってやろう。


魔道具屋の裏口のある通りまで来ると、あ、居た、あいつ性懲りもなくまだ通行人に声をかけてる。


「おい! なにが良い娘がたくさんいる、だよ。おばちゃんとおばあちゃんの2人しか居なかったぞ。それに、飲み放題がウィスキーとワインだけって何なんだよ!」


「あれ? さっきの社長さんじゃないですか、もう飲み終わっちゃったんですか? 社長には男がお相手しましたか?」


「いや、男じゃない、おばちゃんとおばあちゃんだ!」


「では女性ってことですよね? それも2人も。 2人ってのは1人に比べて『たくさん』ですよね? それって、『良い娘がたくさん』ですよね? 嘘偽りなく、ボッタくりも無い、何て良い店なんでしょう、ね。」


「いや、『ね。』じゃないんだよ。あぁ、確かにぼったくりじゃなかったよ。でもな、オレはプチキャバクラだっていうから行ったんだ。デイケアセンターのヘルパー体験に行ったんじゃないぞ!」


「ヘルパー体験って、またお上手な。でも、ケイさんとミーさんはうちのナンバー1とナンバー2なんですよ? 両手に華じゃないですか。羨ましい。」


「ナンバー1と2って、2人しかいないんだからそりゃそうだろ。 それは逆から言えば、ワースト1とブービーってことだよな?」


「なんでわざわざ逆から言わなきゃらならないんですか。そんなに捻くれたことばかり言ってると、性格悪くなっちゃいますよ?」


ドカッ


小走りで通り過ぎようとした男がオレの肩にぶつかった。


「あ、すんません。」


男は軽く頭を下げて走り去っていった。


「ほら、道の真ん中で立ち話してると皆さんの邪魔になりますよ。こっちも社長さんと話してると商売あがったりなんで、もう行ってくださいよ。」


まぁ、これ以上文句を言ったところで何も得るものが無いのも事実だしな。


「まったく、ああ言えばこう言うみたいなヤツだな。 もういい、二度とあんたの店には行かないからな!」

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