表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/58

第46話 煮物の匂い

 ヂケヌもスモークフィッシュ・ヴァルトも、そこそこ大きいので、この2つを買っただけで既に大荷物状態になってしまった。


「なぁ、一旦宿に戻らないか? この荷物持ったままじゃ街の散策もし辛いだろ。」


「そう? アタシは別にこのままでも構わないけどね?」


「そりゃキミは手ぶらで、オレが両方持ってるからだろ。だいたい、金を払ったのもオレだし、そもそもキミはオレの助手だろ。」


「そうよ、助手よ? 荷物持ちじゃないわ。」


「あぁもう、ああいえばこう言う、面倒なネコ娘だな。」


「お褒め頂いて恐縮です。」


「ちっとも褒めちゃいないんだよ。まったく。とにかく、宿に戻ろう。この青い果物だって、冷蔵庫に入れといた方が良いんだろ?」


「それはそうね、宿へ戻りましょう。」


宿の部屋へ戻ってきたけど、部屋の小さな冷蔵庫には、こんな大きな果物は入らないぞ?


「なぁ、これ、この冷蔵庫には入らないな。宿の冷蔵庫に入れといてもらおうか。」


「あ、ヂケヌはそのまま冷やしちゃだめだよ。皮だけ冷えると実の酸味が増えちゃって美味しくなくなるんだよ。」


「そうなのか。じゃ、どうするんだ?」


「冷やすだけなら、輪切りだけど、それを半分に切って、更に半分に切っておくと、後で食べやすいわね。 アタシが切るわよ。」


「そうか、じゃ、頼むよ。」


ネコ娘が部屋に備え付けの小さな果物ナイフを青い果物にスッと切り込むと、気持ちが良い位にパカっと割れた。お、中身は黄色いんだな、このヂケヌって。


「はい、できたよ。冷蔵庫入れとくね。」


すっかり三角形のスイカみたいな形に切り分けられたヂケヌが冷蔵庫に収まった。


「ヂケヌは終わったけど、これはどうるすんだ?」


スモークフィッシュ・ヴァルトを持ち上げて見せた。


「それね、アタシもどうするものか知らないんだよね。だって、ヴァルトベルク名物なんでしょ? アタシ、初めて来たんだし。」


「まぁ、そりゃそうだけど、オレよりはこの世界観に慣れてるだろ?」


「そういわれたらそうだけど、だいたい、これって干し魚なんだから、このまま壁にでも掛けとけば良いんじゃないの? 腐ったりはしないでしょ。」


「こんな感じか?」


壁のフックにスモークフィッシュ・ヴァルトを掛けてみた。


「なんだか壁に大きな魚の干物がぶらさがってるって、シュールな絵柄だぞ?」


「まぁ良いじゃないの、アタシ達しか居ないんだから、この部屋。それより、また街へ行こうよ。」


「そうだな、部屋に籠っててもしょうがないな。よし、情報収集活動再開だ。」



 市場に戻ってきた。


さっきは食材の近辺を歩いただけだったんで、今度は、更に奥の雑貨やら、洋服やらが売られてるエリアまで行ってみる。


「うわー、この服かわいいね。 あ、こっちも良いな。 こっちのパンツも素敵じゃないの。」


ネコ娘が大はしゃぎしてる。 そうか、こいつ、ずっと監獄暮らしだったから、買い物来たのなんか初めてなんだろうな。 そう考えると不憫な娘なんだよな、うん。


「ねぇ、これとこれ。  買って!」


「はぁぁ? なんでオレがキミの服買わなきゃいけないんだよ。」


「え? アタシ、貴方の助手でしょ? 助手がダサい恰好してたら恥ずかしいのは貴方じゃない?」


「そんなもんなのか? いや、そうだとしても、オレが買う理由にはならんぞ。」


「だって貴方は、ハードボイルドでダンディなレジェンド探偵なんでしょ? 助手だって、それに合わせないとせっかくのハードボイルドとダンディが台無しになっちゃうでしょ?」


「あ、いや、まぁ、なんだな、そう言えなくもないな。 えい、わかったよ、1着だけ買ってやるよ。」


「さんきゅー、流石はレジェンド探偵さんだわ。」


これって、言葉巧みに誘導されただけじゃないか? さっきの不憫な娘ってのは取り消しで、したたかな娘に訂正だよ。


結局、シャツ、パンツ、靴の一式を買わされてしまった。


理由は、助手がパンツだけで上半身裸だったら変だ、とか、下半身裸だったら変態だ、とか、裸足の助手で良いのか?とか、まったくの屁理屈だったが・・。


「そろそろランチの時間だよね? さっきから野菜と魚の煮物っぽい匂いがしてるのが気になってるのよね。」


「そうか? オレには何も感じないぞ?」


「アタシの鼻は、食材の鮮度や調理法まで、ある程度はわかるのよ?」


「なるほど、流石はネコ族の末裔ってことか。」


「うん、間違いない。匂いの元はあの店に違いないわ。」


ネコ娘が鼻をぴくぴくさせながら、近くの食堂へ向かっていった。


「あぁ、確かに煮物っぽい匂いがするな。」


「でしょ? それも臭みのない魚の匂いなのよ。きっとおいしいわ。」


「昼飯の時間だし、入ってみるか?」


「うん。」


木のテーブルに木のベンチ、市場にある気取らない庶民の食堂って感じの店だ。


「いらっしゃい。 何にしますか? メニューはあっちの壁にありますよ。」


長年ここで食堂をやってきたって感じの小柄で少し腰が曲がったエプロン姿のおばあさんが水の入ったコップを持ってきた。


店の造りといい、このおばあさんといい、結構いい感じの店だぞ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ