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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第41話 2軒目

 店を探すために、一旦大通りへ戻ってみる。 


「宿と違って飲食店の場合、やはり人が集まりやすいのは大通りに面した店なんだ。ただし、そういった店は、街の大雑把な情報みたいなのは集まってるけど、ディープな情報は得られないことが多いんだ。ただ、今日の目的には合ってるってことだ。」


「ふーん、そんなもんなんだ。」


ちょうど目の前に、大きな窓が並んでいて、店内からもワイワイとした声や笑い声が聞こえてくる店があった。


「そう、こんな感じの店だな。まずは、ざっとした情報を集めてみようか。」


店の扉を開けると、店内は想像通り明るくて、ちょうどいい感じの喧騒だった。


「いらっしゃい、何名様?」


大きなトレーを持った女性スタッフがこっちを見たので、指を2本立てて、2人であることを伝えた。


「お二人様ねー、こっちの席へどうぞ。」


女性スタッフが右手で奥の方の席をさした。


木製の椅子に、同じく木製のテーブル、それもかなり使い込まれていて、この店の歴史が長いことを表している。これも大きな安心材料だな。


「いらっしゃい、何にしましょうか?」


さっきの女性スタッフが席にやってきた。


「そうだな、オレはバーボン、ロックで。」


「じゃ、アタシも同じものお願いします。」


「ハイ、バーボンロック2つね。 つまみはどうします?」


「そうだな、今日のおススメはなにかあるかな?」


「そうね、バーボンロックならブラウント・エッグはどうかしら?」


「ブラウント・エッグ? ってなんだ?」


「あら?ブラウント・エッグを知りませんか? もしかして、あなたたち旅の人かしら? ブラウント・エッグは、森の香草とスパイスで燻した卵で、ヴァルトベルクの名物料理の一つなんですよ。 表面は香ばしく、中の黄身までしっかり固めてあるから、手でつまんで食べられて、塩気があって、バーボンにぴったりですよ。」


「へぇ、良いじゃないか、それをもらおうか。」


「ハイ、ブラント・エッグですね。あ、旅の人なら、他にもヴァルトベルク名物で、ドライ・ピクルスとか、フロストチーズとかはどうですか?」


「えぇ? ピクルスなのにドライ? チーズの冷凍? 想像つかないけど、そこが面白いところだな、よし、それももらうよ。」


「ハイ、ドライ・ピクルスとフロストチーズも追加ですね。」


女性スタッフが厨房の方へ向かって行った。


「な。こんな感じで、まずは、オレたちが地元の人間じゃないってことを知らせておくのさ。そうすると向こうから勝手に地元の情報が提供されてくるってわけさ。」


「地元の情報って、名物料理だけだよね?」


「まぁ焦るなって。まだ情報戦は始まったばっかりだぞ。」



「はい、お待ちどうさま、バーボンロックね。 それと、これがブラント・エッグ。ドライ・ピクルスとフロストチーズもすぐ持ってきますね。」


「へー、これがバーボンのロックなんだ。昨日飲んだブランデーのロックと何が違うの?」


「ん?まあ基本的には材料だな。ブランデーはブドウの酒を蒸留したもので、香りが甘くて柔らかい。バーボンはトウモロコシが主原料で、新樽で熟成させるから香ばしい香りが出やすい。

……だからロックにすると、ブランデーは香りが開きやすいし、バーボンはコクが際立つ。そこまでは普通の話だ。」


「そっか、原料が違うんだ。で、それで?」


「それで、焦げ樽の香りってのは、荒野を孤独に歩く男の背中そのものなんだ。

一口飲むたびに、沈む夕陽と影が語り合うのさ。

氷の沈む音は――人生の岐路で覚悟を決める音なんだぜ。

だから、バーボンロックってのは、“自分の影と向き合う者の酒”なんだ。」


「・・・」


ネコ娘が口をポカンと開いて固まってる。今だ、ここで決めるんだ。


「それこそが、オレがバーボンロックを飲む理由なのさ。」


よし、決まったな。


「ちょっと何言ってるかわからない。 とにかく乾杯しよ。」


「おい、ちゃんと人の話を聞いて理解しろよ。」


「はいはい、かんぱーい。」


ネコ娘がバーボンロックのグラスを高く持ち上げて、すぐ飲み始めた。


「あ、先に飲み始めやがったな。 じゃ、乾杯。」


「なるほどね、昨日飲んだブランデーはフルーツ系だったけど、このバーボンってのはバニラ系って感じかしら?」


ネコ娘は、ロックなのにグビっと飲んでるし、ちゃんと味まで判別できてるみたいなんで、アルコール耐性強い、ってか、こいつ、やっぱりザルなのかも。

このまま野放しにしておくと、調子に乗りかねないから、ちょっと一発ガツンと言っておいた方が良いな。 よし。


「いや、バニラっていうより……樽の香りに宿る“荒野を駆ける孤独な勇者の魂”って感じだな。 一口で、俺の内なる冒険心も目覚める。

飲めば飲むほど俺は伝説になる――いや、伝説を超える。まさに、このバーボンはオレのための“勇者のロック”ってわけさ。」


「うん、やっぱりこれはバニラ系だよ。 アタシ、これ好きだな。」


えぇっ? もうグラスのバーボンが半分になってるよ?

ってか、オレの話はガン無視しちゃうの?


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