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第4話 ビバ!ヴァルトベルク!!

 騎士団長の執務室にはオリバーが既に待っていた。


「朝倉殿、かけて下され。 オリバー紅茶を3つ頼むよ。」


オリバーが紅茶を3つ持ってきてそのままガラハッドの隣に座った。


うん、ほんの2時間位前と同じ光景、デジャブだな。


「朝倉殿、何があったのかね?」


ガラハッドが話始めた。


「いや、少し焦りすぎてしまったようで、敵の反撃を受けてしまったようだ。」


「えぇっ? もう敵が誰か判明した、ということですかな?」


「いや、今回の敵だと判明したわけではないが、所謂世間の敵、というやつだな。」


「朝倉殿の説明は難しくて理解し難いな。衛兵からの報告では、持ち物は近衛騎士団広報の身分証明書だけだった、とのことだが、活動資金はどうなったのかね?」


あちゃぁ、やっぱりそこは避けて通れない話だよな・・。

もう少しだけしらを切ってみるか。


「それは、作戦上の機密事項なので、今はちょっと・・。」


「朝倉殿、正直に話してくださらんか。衛兵からの報告によると、二人組の男に追われて全力で走って来た貴殿が衛兵小屋の前で息を切らして倒れ込んだ、となっておったぞ。貴殿が衛兵に捕らわれたのに、その男達は近寄ってこなかった、ということは、合法的な内容で追いかけてきた訳では無いと想像できるのだが?」


流石、騎士団長、バカではないようだな。今回は正直に話してみるか。オレは事の顛末を説明した。


「要するに、いきなり歓楽街の裏道の暴力バーに入って、身ぐるみ剝がされて一目散に逃げてきた、と、そういうことかの?」


「まぁ、無理に一言で表そうとするとそうなるな。なぜ、歓楽街の裏道のバーに行ったのか等、重要な目的や背景が不足している感はあるがな。」


「朝倉殿の言いたいこともわからないではないが、結果、結論として、作戦開始から2時間で活動資金を奪われ、ならず者に追われ息も絶え絶えに宮殿へ逃げ帰ってきた、ということですな。」


「まぁ、評価なんてものは、すべてが終わった時までは、お天道様にもわからねぇってことだ。」


俺は軽く瞼を閉じて、天井を見上げながら、大きな独り言を言った。


「なるほど、まぁ、よかろう。初めての街でもあるしの。では、もう一度同額の活動資金をお渡しする。こんどは抜かりなく頼んだぞ。」


「承知した。任せておけ。」


俺は再び街の歓楽街に戻った。そう、私は帰ってきた。


この喧騒の中にこそ、俺が探し求める答えがある、レジェンド探偵のアンテナがそう言っている。今回は下調べも兼ねて大通りに面した客の多い明るい店から攻めてみよう。俺は学習能力が高いので、同じ轍は踏まないのさ。


大きな窓から楽しそうな笑い声と、明るい光が溢れている酒場があった。よし、ここだな、レジェンド探偵としての俺のアンテナがビンビンに反応してる。


店に入る。結構広いし、ほぼ満席だ。煩くもなく、静かでもなく、丁度良い雰囲気で盛り上がっている。うん、良い店じゃないか。


カウンターの端の席に座る。

そういえば、さっきはバーボンが出てきたが、一口も飲まないうちに店を出ちまったし、喉も乾いてるので、今回はビールでいくか。ハードボイルドな俺でも、喉の渇きを乾かすためにはビールも飲むのさ。


「ビール、あと、ナッツとチーズ。」


ドンッ。 大きなビールジョッキが置かれた。


俺の王国での仕事初めに乾杯、と。 グビグビ、ぷはー。 一気にジョッキ半分飲んじまった。ハードリカーだけじゃなくて、ビールも旨いんだよな、実際。


「ハイ、ナッツとチーズね。」


カウンターのお姉さんがカウンター越しに皿を手渡してきた。


木製の皿にナッツとチーズがたっぷりと盛られている。これは良いぞ。


「あ、ビールもう一杯ね。」


「はーい、ビール一丁! あ、お兄さん、今日のおススメはスパイシーソーセージだよ。」


「お、良いねぇ、じゃ、スパイシーソーセージもお願い。」


「はーい、スパイシーソーセージ一丁!」


俺はその後も、揚げ魚、干し肉、ドライフルーツを頼んで、ビールも6杯目のジョッキが空になった。


 「お姉さん、オレは旅の途中なんだけど、この街はどんな感じなんだい?」


「そうねぇ、私はこの街の生まれなんで他とは比べられないけど、暮らしやすいよ。悪人の根城みたいな一角に入らなきゃ安全だし、食材も豊富だし、景気も悪くないよ。」


「確かに、ここのつまみは旨いし、ガラの悪い客も居ないよね。あ、ちなみにこの街の名産、名物料理ってなに?」


「あ、そっか、お兄さん、旅の人だったね。じゃ、ヴァルトベルク名物の鳥の香草煮込みを食べてみてよ、これとヴァルトベルク名産の香草の入ったジンがバッチリなんだ。」


「お、良いねぇそれ。それをもらおうか。」


「はい、鳥の香草煮込み、お待たせね。」


木皿に大きめな手羽先が入ったスープのような料理が運ばれてきた。

うん、確かに、ヴァルトベルク名物だっていう鳥の香草煮込みは旨い。香草の入ったジンとの相性もばっちりで、結局ジンを1本空けてしまった。最高に良い街だなここは。 ビバ!ヴァルトベルク!!


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