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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第39話 苦味

「ちょうど良い時間じゃないか。このタイミングを待ってたんだ。よし、そろそろ活動開始だぞ。」


「ちょうど良い時間って、アタシが起こしてなかったらまだ寝てたんじゃないの?」


「何言ってんだ、オレは寝てない。身体を休めようとして横になってただけだ。」


「はぁ? 貴方って身体を休めてるときに、グーグー音を立てるの?」


「・・それは、偽装だ。いつなんどきでも組織はオレを狙ってるからな。」


「ねぇ、いい加減、普通に、素直に、寝ちゃってたって言えないの?」


「・・ほら、早く準備しろよ、今から行くところももう調べてあるんだからな。」


「え?そうなの? それは準備が良いのね。流石はハードボイルドでダンディなレジェンド探偵さんだね。」


「いや、だから、ハードボイルドじゃなくて・・ あれ? あってるか。  なんだか調子が狂うな。まぁ、いいや。」


ネコ娘と宿を出る。


フロントスタッフは、確か右を指さしてたよな。

ってことで右へ向かって歩き始める。


少し先に路地に灯りが漏れてる店がある。あれかな?


少し剥げかかった看板には「ブラウンズキッチン」の文字があった。


「あ、ここだ、ブラウンズキッチン。 ここで良いよな?」


ネコ娘の答えも聞かず、ガラスの引き戸を開けた。


ガラガラガラ・・


店内には、ちょうど心地いい感じで、客の喧騒が広がっている。

こういう感じの店は良い店なんだ、オレのアンテナがそう言ってる。


「二名様? こっちの席へどうぞ!」


スタッフが手を挙げて奥の席を指さした。

こういうてきぱきしたスタッフが居るのもポイント高いぞ。


2人掛けの席に座るとすぐにスタッフが寄ってきた。


「いらっしゃい。なににしましょうか?」


「そうだな、まずは、ビールをもらおう。 キミはどうする?」


「アタシもビールもらおうかな。」


「そうか。じゃ、ビールを2つ。それと、初めてなんだが、ここのおススメ料理は何かな?」


「そうね、うちのベストセラーは干し肉のスモーク盛り合わせとかレバーのハーブ炒め、豆とベーコンのスープとかかな。あ、あと、チキンパイも人気あるよ。」


「いいじゃないか、それ全部もらうよ。」


「あいよ、ちょっと待っててね。」


スタッフはササっと注文を書き留めてカウンターの方へ行ってしまった。


「いいか、情報収集の基本は、こういうところでの噂話なんだ。だから、しっかり聞き耳立てて周囲の会話を聞き取るんだぞ。」


「なるほど、わかったよ。アタシ耳は良いからね、任せといてよ。」


ネコ娘のネコ耳がピクっと動いた。


ドンっ


「はい、ビール2つ、お待ちどうさま。 これは突き出しのカラカラの実のローストね。」


スタッフが木製のビールジョッキと、小石が盛られてるような小皿ををテーブルに置いた。


「え? これがカラカラの実のロースト? 見た目、普通に小石みたいだよな?」


「そうか、貴方、カラカラの実、知らないんだね。これはストームツリーって、風が強いところで育つ大きな木が合って、その実なんだけど、振るとね、ほら、カラカラって音がするでしょ?」


ネコ娘がカラカラの実を耳元で振った。


「へぇ、音が鳴る木の実なのか。」


オレも木の実を耳元で振ってみる。


カラカラカラ・・


「あ、ほんとだ、カラカラ音がする。」


「でしょ? だからカラカラの実。」


「でも、これ見た目、小石みたいで堅そうだぞ? どうやって食べるんだ?」


「へへへ、これはねー、こうやって。プチっと。」


ネコ娘が爪楊枝をカラカラの実の窪みに刺した。


パキっ。


小気味よい音とともに小石が真っ二つに割れた。


「お、面白いな、これ。なに、この窪みを突っつくと割れるのか?」


テーブルの上の爪楊枝入れから爪楊枝を一本取り出して、小石みたいな木の実の窪みに刺す。


パキっ。


「うぉ、思ったより簡単に割れるんだ。」


「簡単でしょ? あとは、食べるだけ、香ばしくて美味しいんだよ。」


ネコ娘が殻から実を取り出してパクっと食べた。


なるほど、どれどれ。パクっとな。


「ホントだ。香ばしくて旨いな、これ。ビールにピッタリだぞ。」


ビールを飲もうとジョッキを持ち上げたときに気が付いた。


「あ、まだ乾杯してなかったな。 よし、乾杯!」


「かんぱーい。」


ネコ娘もビールジョッキを持ち上げた。


グビっグビっグビっ。


うん、木の実はビールと相性バッチリだな。


「うっわー、苦いねーこれ。」


ネコ娘がジョッキを持ったまま渋い顔をしてる。


「あれ? キミはビール飲むの初めてか?」


「うん、そうだよ。お酒は昨日のブランデーが初めてだったんだもん。」


「そうか、まぁ、ビールの苦みは人生のスパイスだからな。お子ちゃまには理解できないだろうな。」


「だから、アタシ、貴方より年上だよ?」


「あ・・そうだったな。いや、年齢ってのは単なる年のことじゃなくて、経験を重ねたって意味だからな。 だからオレみたいな重厚な人生経験が豊富な・・」


グビグビ・・


「ビールの苦みって慣れてくると、美味しく感じるんだねー、不思議だなー。ぷっはー、美味しいねぇ。」


「だから、人が話してるときに上から被せるな・・ あれ? もうビールの苦みに慣れちゃったの?」

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