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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第32話 ブランデー

「アサクラさま、お食事の準備が出来ました。お持ちしてもよろしいでしょうか?」


ありゃ、ネコ娘じゃなく、ここのメイドさんだったか。


「あ、ちょっと待って、今行く。」


リビングに出ると、メイドが2人立っていた。


「食事って、何処かへ行って食べるのかな?誰かと一緒とか?」


「いえ、こちらのリビングにご用意させて頂きます。お二方でごゆっくりお召し上がり下さい、とのことでした。」


「なるほど、そういうことか。それなら、オレはいつでも大丈夫だな。 後は、そうか、あいつにも聞いてみるか。」


コンコンコン。


ネコ娘の部屋のドアをノックする。


「なーにー?」


「そろそろ食事なんだけど、もう持ってきてもらっても良いか?」


「あ、今シャワー終わったばっかりだから・・ うん、でも、大丈夫だよ。 っていうか、おなか空いてるから、早く食べたいしね。」


「わかった。じゃ、準備してもらうぞ。」


「はーい。アタシも髪乾かしたらそっち行くよ。」


・・髪を乾かす? ネコって、どこからどこまでが髪なんだろう?



「じゃ、食事の準備お願いします。」


「かしこまりました。準備してまいりますのでしばらくお待ちください。」


そう言うと、メイド2人は部屋を出て行った。


さて、と。食前酒ってことで軽くなにか飲んで食事の準備を待ってようか。


カチャッ


「お待たせー。」


ネコ娘がリビングルームに入ってきた。


「お、ちょうどいいところに来たな、キミも何か飲むか? オレはいつも通り、ブランデーのロックで喉を潤すつもりだが。」


「へぇ、貴方っていつもブランデーのロックなんだ。なんかちょっとイメージと違うね。」


「なにがイメージと違うだよ。あぁ、そういえば、オレがこの世界へ飛ばされた時も、事務所で月明かりをつまみにしてブランデーのロックを飲んでたんだよな。」


「月明かりをつまみに? ちょっと洒落ているじゃないの。 うん? あ、ちょっと手を貸して。」


言い終わるや否か、ネコ娘がオレの右手を握ると、すっと瞼を閉じた。


あ、これって・・。


アハハハハ


すぐに、ネコ娘が笑い出した。


「月明かりをつまみに、ブランデーのロックね、アハハ。確かに電気の止まった部屋なら月明かりも綺麗に見えるでしょうね。で、ブランデーグラスにいれたのは、水道水のロックってところかしら?」


「あ! こら、このネコ娘! またオレの記憶を読みやがったな!」


「アハハ。やっぱり貴方って見てて飽きない人だよね。 ま、アタシもブランデーって飲んでみたかったからさ、貴方のおススメの飲み方でアタシの分も作ってくれる?」


「人の記憶を勝手に見るのはダメだって言ったろ・・。 まぁ、いいや。そうだな、せっかくオレ好みのブランデーがあるんだから、飲もうか。 オレはロックだが、キミが初めて飲むなら、ソーダかお湯で割ったほうが良いだろうな。」


「へぇ、じゃアタシ、ソーダ割りっていうのが良いな。ソーダもほとんど飲んだことないから、面白そうだし。」


キャビネットから銀縁のタンブラーを取り出して、ブランデー1、炭酸水4位の軽めのブランデー・ハイボールを作った。


それと、オレ用にロックグラスに丸氷を入れて、ブランデーを注ぐ。


「ほら、これがブランデーのソーダ割りだ。」


「へぇ、これがブランデーなんだ。なんだかお菓子みたいな香りがするね。」


「香りは甘いが味は渋い。まぁ、これこそがハードボイルドな人生みたいな・・」


「かんぱーい」


「だから、人が話してる時に上から被せるなよ・・ まぁ、乾杯。」


コクリ。


久々のブランデーが喉を静かに鳴らした。

やっぱりうまいな。


ゴクッゴクッ。


「ぷはー。うわぁ、これ、美味しいわ。」


ネコ娘の右手の銀縁タンブラーが空になってる。


「おいおい、いくらソーダで割ってるからって、それは、ブランデーなんだぞ。ビールみたいにガブ飲みしたら酔っぱらうぞ。」


「そうなの? でも、もう一杯飲みたいな。」


ネコ娘が銀縁タンブラーを手渡してきた。


「いいか、ブランデーってのは『喉で飲む酒』じゃなくて、『時間で飲む酒』なんだぜ。……ガブ飲みするもんじゃないんだぞ。」


まったく、今時の若い奴は何も解ってないな。 あ、いや、このネコ娘は若くもなかったか。

しかし、ネコ舌のくせに、酒では熱くならないんだな。

よし、どうせなら、早く酔っぱらうように、少し濃いめで作るか。


次は、ブランデー1、炭酸水2位で、かなりどっしりとしたブランデー・ハイボールを作ってネコ娘に渡した。


ゴクッ。


「あれ? 今度の方が美味しく感じるな。 同じものなんだよね?」


「あぁ、同じブランデーだ。ただ、キミはブランデーが好きみたいだから、少しブランデーを濃いめで作ったんだよ。」


「へぇ、割り方で味も変わるんだね。面白い飲み物なんだね、ブランデーって。」


「当然だ。ブランデーってやつは、割り方ひとつで人格を変えるんだ。 氷で縛れば静寂、ソーダで解けば奔放、まるで人間みたいな酒なのさ。だからこそ味わい深い、それがオレがブランデーを愛してる理由かもしれないな。」


「アタシはネコ族なんだけど?」


「・・・まぁ、そこは、「人間」を「生き物」って読み替えようか。」

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