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レジェンド探偵 ASAKURA ~俺のハードボイルドに触れると火傷するぜ(俺が)~  作者: Sakamoto9


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第27話 ヴァルトベルク

 歩き始めて1時間。


「この辺で少し休憩しようか。」


「え? もう休憩するの?」


「キミは歩いてるだけだけど、オレはこの子供背負ってるんだぞ。」


「そっか。まだこの子、目覚まさないね。 じゃ、あそこの岩なんかちょうど座りやすいんじゃない?」


「ああ、そうしよう。」


草むらに子供をおろして、岩に腰かけた。


「ヴァルトベルクまで3時間って言ってたから、あと2時間、昼前には着くだろうな。問題は、意識のない子供を背負って、ネコ族を連れてるオレが不審者だと思われないかどうかだけだな。」


「え?貴方、シュバリアの案件を請け負ってるから、宮廷広報のIDを貰ってるんじゃなかったの? それを見せれば良いんじゃないの?」


「貰ってたが、ヴァンダニアの審問官に取られちまってるから、今は持ってないぞ。だいたい、あのIDは、部外者には役に立つが、関係者なら、宮廷に広報なんて部署が無いってわかるから、余計に怪しまれるさ。」


「なんだか面倒なIDね。まぁ、貴方のことだから、なんとかしてくれるとは信じてるけどね、レジェンドさん。」


「当たり前すぎて話にもならん。オレの辞書に不可能って文字はないんだぜ。」


「本当にそういうことを言う人が居るってことを知っただけでもうれしいわ。」


ちっ、ネコ娘、いちいち一言多いな・・。


「ま、いいだろう。そろそろ出発するか。」


「残り2時間ね。行きましょう。」


子供を背負って、歩き始める。


再び歩き始めて1時間。


「この辺で少し休憩しようか。」


「え? もう休憩するの?」


「キミは歩いてるだけだけど、オレはこの子供背負ってるんだぞ。って、これ、さっきも同じこと言ったろ。今オレはデジャブを見てるのか?」


「はいはい、じゃ、あそこに大きな切り株があるから、そこで休みましょ。」


子供を草むらに寝かせて、切り株に座る。


「もうあと1時間で着くんだね。アタシ、ちょっと楽しみなんだ。ほら、アタシって初めてヴァンダニアを出たし、シュバリアなんて国交もないから絶対行くことなんかないと思ってたし、ヴァルトベルクって奇麗な街だって聞いてたけど、実際にこの目で見る日が来るとは思ってなかったな。」


「そうだな、ヴァルトベルクって活気がある街だったな。 ま、オレが元居た世界の方が刺激的だったけどな。」


「ふうん。貴方の言う、刺激的な街ってのはよくわからないけど、貴方の元居た世界ってのも見てみたいわ。」


「オレの元居た世界には、魔法もなければ、ネコ族も居ないから、キミにとって魅力的な街なのかはわからないけどな。」


「魔法がない世界なんてあるんだ。面白いね。」


「オレ的には魔法がある世界の方がビックリだけどな。さて、最後の工程、そろそろ行こうか。」


子供を背負いなおして、再び歩き始める。


大きな城壁が見えてくる。


大勢の人が集まってる、あの場所が街に入るための門だろうか。


「キミは念のため、そのネコ耳は隠しておいた方が良いんじゃないか?」


「そうね、いきなり問題を増やすのは得策じゃないしね。」


だんだんと門が近づいてくる。


門を通過する時にどんなチェックをされているのか、その傾向と対策のために、門を通過する人達の様子を見る。


特に、IDのようなものを見せている様子はない、これなら素直に門を通過できる可能性もあるかな。


門を通過する列に並んだ。


オレたちが門を通過する順番が近づいたとき、一人の衛兵が近づいてきた。


「あなたは、朝倉殿ではないですか?」


「あぁ、いかにも、オレが朝倉だ。キミはどこかで・・?」


「やはりそうでしたか。私は宮殿正門で勤務していた際に、朝倉殿をお見かけしました。朝倉殿はガラハッド騎士団長の特命を担当されてるとかで。」


「そうか、そうだったか。あぁ、今回もガラハッド騎士団長に報告するために戻ってきたところなんだ。今、ガラハッド騎士団長はどこにいらっしゃるかな?」


「今、ガラハッド団長は宮殿に居るはずです。 ところで、その背中の子供と、お連れの女性に関して話を伺えますか?」


おっと、すんなりとは通れないか? いや、一か八か言ってみるか。


「あぁ、実は、この件こそがガラハッド騎士団長からの特命に関することなので、ガラハッド騎士団長に直接説明したくて戻ってきたんだ。」


「そういうことですか、それでは宮殿まで衛兵に送らせましょう。 おい、だれか、馬車を回してくれ。 宮殿のガラハッド騎士団長のお客人だ。」


「そうか。すまない、助かるよ。」


「いいえ、とんでもない。朝倉殿に協力することはガラハッド騎士団長からの厳命でもありますので。 では、こちらへどうぞ。」


衛兵が馬車の扉を開けてくれた。


「貴方って、想像してたより、ちゃんとした有名は探偵さんだったんだね。」


馬車が動き出すと、ネコ娘が少し、意外がって顔でオレを見てきた。


「想像してたより、ってなんだよ。オレは最初から、ハードボイルドでダンディな群れない孤高のレジェンド探偵だと言ってるだろ。 それ以上でもそれ以下でもないのさ。」

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