第2話 王族の誘拐?
ガラハッド、オリバーと一緒に近衛騎士団長室と書かれた部屋へ入った。
「朝倉殿、まぁ、かけてくだされ。オリバー、紅茶を3つ頼むよ。」
オリバーが紅茶を3つ持ってきて、そのままガラハッドの隣に座る。
ガラハッドは直ぐに紅茶を手にに取り、一口飲むと話を始めた。
「軽く背景を説明した方が良いでしょうな。繰り返しになりますが、ここは王都ヴァルトベルク、日時は王歴679年、3月6日、時間は午後3時18分。 貴殿が最も気になっておるであろう、召喚された理由であるが、まず、今何が起きてるか説明した方が解りやすいと思うので、先に事件の概要を説お話しよう。実は、フレデリック国王の甥っ子のカールさまが誘拐されるというとても痛ましい事件が発生しておる。お恥ずかしい話であるが、この誘拐には城内に手引きした者が居ると推測されておるのだ。よって、情報を制限するために、この件は王族の皆さまと近衛騎士団のみの機密事項とし、対応も近衛騎士団のみで行っておる。ただ、近衛騎士団だけでは活動に制限があるため、レジェンド・ディテクティブを召喚し、捜索、対応を依頼しようとしている、という訳である。」
「王族の誘拐、極秘対応、なるほど、俺の最も得意とする分野だな。」
「おぉ、なんと心強い。貴殿は王族の誘拐対応の経験がおありか。」
「まぁ、俺の国は王国ではないので王族は居ないが、俺が今までに捜索したのは、さくら姫、マロン、ポチ、ミケ。全部無事に保護しているぞ。」
「おぉ、姫の保護もしておるのか。貴殿はまさしくレジェンドであるの。是非とも貴殿のお力でカールさまの保護をお願いしたい。」
「カールさまが誘拐されてしまったことはアンラッキーだったが、君達はまだついている。なぜなら、レジェンド探偵の俺が来たからには、事件は既に解決したも同様だからさ。」
右斜め上に視線を飛ばしながら、1オクターブ下げた渋みのある声でゆっくりとそう言い放った。
「では早速だが、カールさまの状況を説明しよう。カールさまが行方不明になられたのは3日前、昼食の時間にカールさまが食堂にいらっしゃらなかったことで、行方がわからなくなっていることが発覚し、夕方には脅迫状が届いたのだ。」
「ほう、宮殿の中から誘拐されたのか? それは確かに内部犯行だな。で、脅迫状の内容は? 要求は?」
「要約すると、身代金50億WDを要求されておる。あ、WDはヴァルトベルクドル、(Waldberg dollar)、ヴァルトベルクドル王国の通貨単位じゃ。」
「なるほど、貨幣価値が分からないので、その金額がどの程度なのかはわからんが、王族が人質なのだから高額なのだろうな。で、犯人、いや、これは単独犯の犯行とは思えないからチームだな、犯人チームの目星はついているのか?」
「またしてもお恥ずかしい話だが、犯人の目星は全くついておらんのだ。ただ、要求が金であることから、王族の内輪揉めではなく、外部の犯行で、かつ、単なる輩ではなく、ある程度宮殿にアクセスできる貴族が関係していると想定しておる。あ、順番が前後してしまったが、こちらのお写真がカールさま、7歳のおぼっちゃまだ。」
「7歳の男の子を誘拐、そんな卑劣なことを貴族がやってるのか。相手は相当腹黒くて非道な奴らだな。これは激烈にヤバイ案件だな。」
「そのとおり、相手が貴族であるとすると、こちらが王族といえども、国内の安定を保つためにも慎重に動かざるを得ないのだ。もちろん、犯人が特定できた場合には、例えそれが貴族であろうとも、王族の力は絶対なので対処するのだが、要するに疑惑では動けん、ということだ。そこで、貴殿の登場じゃ。」
「なるほど。流石の近衛騎士団でも貴族相手には表立って動くわけにはいかないので、俺のようなレジェンド探偵が必要ってことだな。」
「さよう、王族が貴族を疑っているなんて思われては大問題になるのでな。ところで、朝倉殿はどのように活動するのかな? チーム編成が必要であろうか?」
「いや、俺は孤高の探偵だから、俺一人で動く方がやりやすい。まずは俺が動いてみるが、宮殿内で何か情報が入れば随時教えてもらいたい。」
「承知した。では朝倉殿が活動しやすいように、宮廷の広報担当という身分を準備しよう。まぁ、実際には宮廷に広報など存在しないのだが、諜報活動をするには、広報という肩書が有効であろう。 身分証明書も用意しよう。もちろん、宮廷勤務を証明する身分証明書の信用度は国内では最高ランクの証明書であるぞ。他には、活動資金として100万WDをお渡ししておく。これは宮廷職員の3か月分の給料位の金額になる。」
「それがオレの武器であり、防具だな、承知した。」
用意してもらった身分証明書と活動資金を持って宮殿を出る。
さぁ、街に出ようか。俺の頭の中には作戦開始のゴングが鳴り響いた。
ふ、ここがどんな世界だからは知らねぇが、レジェンド探偵と呼ばれるこの俺に最適な案件だぜ。




