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第13話 試してみようよ

 このネコ娘、なにやら変な能力があるらしいな、オレの記憶を読み取りやがるぞ。


「もう一度聞くぞ、キミは一体何者なんだ? 単なるネコ族の末裔では無いよな? レジェンド探偵のオレを騙しとおせると思うなよ? その特殊能力はなんなんだ?」


「アタシもビックリだよ。これって他の人の記憶も見られるのかな? でも、アタシ、ここから出たこと無いし、ここに人が入って来ることなんか滅多にないから、試しようも無いけど。それより、貴方のその超ポジティブな性格?って正直、凄いと思うわ。ねぇ、それよりもう一度手握って良い?」


「ん? あぁ。はい。」


ネコ娘がオレの手を握る。


「あれ、やっぱり映像が出てこないな。どんな条件で貴方の記憶の映像が見えるんだろう? 試してみようよ。」


「はぁ? イイよ別に試さなくたって。もうオレの記憶を見られるのはイヤだよ。」


「えぇぇぇ、でもさ、アタシたち暇でしょ。試してみようよ、面白そうだし、ね。」


「まぁ確かに暇ではあるけど・・。ま、好きにしろよ。」


「さんきゅ。じゃぁ次は声に出さないで、自分の頭の中だけで何かを思い出してみてよ。」


「声にださずにな。 ・・・・はい、思い出したぞ。」


「じゃ、手を握るよ。」


ネコ娘がオレの手を握る。ネコ娘とはいえ、女の子に手を握られのは嬉しいものだな。で、なんかちょっと照れるな・・。


「うーん、何も見えないね。思い出すだけじゃだめなのかな。じゃぁ、もう一回さっきのエピソードを聞かせてよ。」


「はぁぁ? 何言ってんだよ、あれだけ散々内容に突っ込み入れられた後から、また同じ話しするって、それどんな罰ゲームだよ。イヤだよ絶対。」


「でもさ、どうやったら記憶が見えるのか試してみたいでしょ?」


「イヤだよ。別に記憶見てほしく無いんだし。」


「そんなこと言わないで、お・ね・が・い。」

そう言いながらネコ娘がオレの右頬を撫でた。


うわぁ、ちょっとゾクっとしちゃったよ。相手はネコなのに。


「わかったよ。じゃ、もう一回、簡単にな。ヤバい話しのネタはヤバい所に集まるから、それを捜して、それっぽいバーに入ったんだ。そしたら大男二人が来て、店の裏でちょっとトラブったんだよ。それでオレはそいつらを煙に巻いて宮殿まで走ったって話しだよ。」


「なんかさっきの時より話が全然短いじゃないの。そんな話しだったっけ? ま、いいか。じゃ、手を貸して。」


ネコ娘がオレの手を握ると、すっと瞼を閉じた。

しばらくしてネコ娘がカッと目を見開いた。


「見えたよ! さっきと全く同じシーンが見えたよ!」


「同じシーン? それじゃ、そんなのが見えたって、別に面白くないじゃないか。」


「何言ってるの、すごいことだよ! だって、貴方の記憶、というか体験が共有できる、それも何度も見られるんだよ? なんて言ったらわかってもらえるかな、そう、動画で録画されてるって感じ?」


「動画で録画されてる? それはオレがYouTuberとかブロガーとかになったみたいな感じか?」


「ユーとチューとか、ミミガーとかっていうのが何のことかわからないけど、要するに何度も再生出来るってことよ? それって凄くない?」


「うーん、同じ記憶が何度も見られる・・。あ、車のドラレコみたいなもんかな?」


「ドラネコ?ドラえもん? 貴方の言葉はわかるけど、話の内容っていうか、意味のわからない単語が多くて理解するのが難しいね。」


「ドラレコはドライブレコーダーって言って、車の前後とかにカメラつけて録画しっぱなしにしといて、事故った時とかにその録画映像を見られるようにしてる機械のことだよ。」


「あ、そうそう、そんな感じ。後からもう一度映像で確認できる、みたいな。」


「でも、オレはそれ見られないんだよ? 意味なくないか?」


「アタシが見られればそれで十分面白いでしょ?」


「オレは全然おもしろくないけどな。」


「貴方じゃなくて、アタシが見られることに意味があるんだけどな。そうだ、例えばね、貴方がバーから裏の路地に連れ出された時に、男が大きなナイフを出したでしょ? そのナイフの柄にヴォイドベルの紋章が彫られていたのに気がついてた?」


「ヴォイドベルの紋章? なんだそれ? だいたい、ナイフ向けられてるのにじっくりナイフの柄なんか見るわけ無いだろ。」


「ほら、そこ。そこだよ。貴方には見つけられなかったけど、アタシなら見つけられるものがあるんだよ。それに、貴方が知らないこっちの世界の情報もアタシならわかるわけでしょ。」


なるほど、この黒ネコ、なんとなくムカつくけど、言ってる事には一理あるな。


「ふん、なるほど。キミが言ってることも間違ってない可能性がない、わけではないのかも、しれないな。」


「貴方って、思ってる以上に面白い人かも。絶対、他人の意見に同意したく無いんだね。」


「同意したかどうかは言葉で表すようなペラッペラなものじゃないんだぜ。」


「わー、ほんとに面白い人だ。」


やっぱりこの黒ネコむかつく・・。でも、案外賢い所があるのは間違いないしな。



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