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7,サンクチュアリローズを追って

 今日は誰もが待ち望んでいた日。お嬢様は珍しく早起きして自室で待っていました。



レイン「リースおはよう!」


リース「おはよう御座いますレインお嬢様。」


レイン「今日はなんの日だと思う?」


リース「さぁ…なんでしょう」



 マリア様から事前に通達されている内容によると今日はお嬢様の誕生日なのですが、気づかないふりをしてほしいとのこと。


 あれから2年と数ヶ月が経ちお嬢様は今年で9歳を迎えました。僕も同い年なので一緒にお祝いするそうですが、「プレゼント」の方がお嬢様は気になっているらしく先程もなんの日?とお聞きになったのです。


 そして僕はお嬢様のプレゼントを揃い忘れたので…ちょっと急いで探そうと思います。



 僕はすぐさま商店に向かいました。お嬢様なら宝石など欲しいと思ったので宝石商に向かったのですが、値段があまりにも高すぎて僕のお給料では買えそうにありません。


 ふと思ったのが商店で買うよりも思いのこもった物をプレゼントしたほうがいいんじゃないか?と思ったので領外に行き、ある花を探しに行きました。



 ある花とは「サンクチュアリローズ」という花で1つのダンジョンに1本咲いている花で地上からの微かな光で咲いていながらもたくましい花びらで花言葉は「太陽の様な笑顔」という意味があります。


 僕一人ではダンジョンに行くのはとても危険なのであるパーティを仲間にしました。


リース「貴方がまだこの領地で活動していたのが運の救いですよ。」


ユウト「久々に会ったらこれかよ…報酬がうまいから良いけどさ。たまに会って話そうぜ?」


リース「たまにだったらいいよ。」



 そう…僕の依頼を引き受けてくれたパーティは「銀火のぎんびのだん」というユウトが作ったパーティで前衛のユウトと剣士が1人と魔法使いが1人の3人で活動していて、ランクは3人ともBランクである。


 

リース「まさかこの短期間でBランクでまで上がってるとは思いもしなかった。」


ユウト「お前たちと別れてから必死にダンジョンに潜り続けたからな。」



 サンクチュアリローズは領外から約3km先の森の奥地のダンジョンにあるらしい。



ユウト「サンクチュアリローズを探してるなんて、彼女でもできたんか?」


リース「いや、お嬢…レインに渡そうと思ってさ。」


ユウト「ふ〜ん…なるほどね。」


リース「なにが?」


ユウト「なんでもないよ。」



 僕達は森の中を走っていきました。途中魔物が道を塞ごうとしてきましたが、流石のBランクパーティ。走りながら連携を取り、爽快な動きで魔物を倒していきました。



ユウト「こちとらミノタウロススレイヤーの称号を持ってるから当然!」


リース「ミノタウロスっていったらBランクでもかなり苦戦するはずだぞ。」


ユウト「お前と会わない間にお前に勝つ為に必死こいてダンジョン潜ってたんだ。」



 僕らはやっとダンジョンに入り探索し始めた。ユウトの仲間の魔法使い「ファエル」はダンジョン内をある程度マッピングできるスキルを持っていたので、大体の敵の位置や、宝箱の場所まで分かってしまう大変貴重なスキル。


 

ファエル「でも1回につき1階のマッピングしかできないし、必ず合っているとも限らないから注意して行ってね。」



 僕らはファエルの指示道理に最短ルートで次の階に行きました。次の地下二階に行くとスケルトンの軍勢が僕らを待っていました。



ユウト「こりゃ…厄介だな。一体一体倒すと時間が掛かってしまう。」


リース「"ハリケーン・ウォーリア・烈"」



 ゴーレム戦で使ったハリケーン・ウォーリアと違って、竜巻で敵を囲んでそのまま圧縮して潰す技となっている。


 たちまちスケルトンはバラバラになっていき、次の階の階段が見えた。



ユウト「やっぱリースの魔法は最強だな。」


ファエル「"アイス・フローリング"」



 ファエルは地面を氷状態にしました。階段を滑り台状にして最速で降りやすくしたのです。



 リース「魔法でもこんな使い方があるんだな。勉強になる。」


ユウト「ハハ…面白いだろ、俺の仲間!」



 このまま下に下に滑り落ちて途中3階をスキップできる隠し通路があったので遠慮なく利用させてもらった。


 隠し通路はちょっと狭くてどこまで続いているか分からなかったけど歩いていたら光が見えた。



ユウト「お!行けたんじゃないか?」


ブラッド「止まれ…」


 

 突然ユウトの仲間の剣士のブラッドが喋りだした。ブラッドは剣士ではなくシーフ又暗殺者らしいので音を感じ取るのは1倍聞こえるらしい。



ブラッド「来た道を戻ろう…それが今できる最善策だ。」


ユウト「なんだってんだ。この先に何かいるのか?」


ファエル「いる…それも多分ボス。マッピングで見たんだけれどこの先だけ異様に広いのよ。」



 と僕らが悩んでいるとこの先から竜の声がした。確かに竜の声だったが、間違いであってほしい。何故ならば竜はAランク冒険者のパーティがやっと勝てるレベルの魔物で竜の中にも強い個体がある。

 

 黒竜  Sランクでなければ立ち向かえない

 銀竜  Aランク7パーティで勝てる

 赤竜  Aランク3パーティで勝てる

 青竜  Aランクパーティで勝てる

 緑竜  Aランクパーティで勝てる


 このパーティでも一番弱い緑竜でさえ勝つことが困難である。万が一勝ったとしても全員生き残って帰れるか分からない。


 

ブラッド「ここで帰る事を推奨する」


リース「でなければ…」


ブラッド「もれなくここで全員死ぬ」


???「そこにいる人間よ…来ないのか?」


パーティ全員「!?」



 パーティ内の声じゃない。それに喋ってると言うより脳に語りかけていたような気がした。



???「どうした…驚いて足がすくむのか?」



 間違いない…間違いであってほしかった。この先にいるのは竜ではなく龍である。それもテレパシーができる知性を待ち合わせている事からかなり位の高い龍だと伺える。


 竜は知性がなくどんなに強くても団体であれば勝てるレベルだが「龍」はただでさえエルフの数倍の知識・知性を持ち合わせているのにも関わらず、弱い龍でさえ黒竜よりも強いとされている。歴史の本とかに載るくらいの災害を起こすとも言われているほどだ。



???「人間がここに来るのは久しいしな…ちょっと喋り相手になってくれんか」



 僕達は言われた通りにするしかなかった。そうでもしないと一瞬にして消されるからだ。



白龍「我が名はバース・ウル・ガノンと申す。ここ数千年間眠っていたので外の世界のことが知りたい。」


リース「僕はリース。ヴァルンド王国東の土地ギランのスクワーズ家のレイン・スクワーズお嬢様に仕える執事です。」


ユウト「え!?」



 僕は自身の事情と今の王国の状況についてバースウルガノンに話した。話す前は怖かったがなんだかんだ僕の話を理解してくれる姿勢を取りながら頷いていた。



白龍「ウム…。そなたの話を聞く限り…。」


リース「どうされました?」


白龍「我は起きたというよりもソイツの魔力に反応して起こされた…た言ったほうがいいだろうか。」



 白龍はこう話す。今から約数千年前一人の人間と契約を交わした。その人間は世界の闇を残らず取り除き、世界に平和をもたらしたらしく。白龍はその人間に浄化で自身の中にあった闇を全て取り除いてもらったとか。


 その縁があって契約というなの加護を人間に渡したそうです。なんの病気でも呪でも治してしまう回復使い…。


 その人間と契約を交わした内容が、もし自身と同じ闇を浄化する者が現れたら私だと思ってその子を助けてほしい。



白龍「その契約を交わしてからここ数千年は反応がなかったが…数年前に反応があったのだ。」



 白龍の話を聞くにその人間。聖女だと思われる。とするならば、お嬢様が聖女だと分かったあの時には起きていたということか。



リース「心当たりがある」


白龍「本当か…」


リース「その代わり手伝って欲しい事があるんだ。」


白龍「ほう…我に何を手伝えと?」


リース「サンクチュアリローズが欲しいです」


白龍「そんな事で良いのか…今の若者は欲が無いのぉ。」



 白龍は長い尻尾を何処か穴に突っ込んで一輪の花を取ってきました。その花は紛れもないサンクチュアリローズで本に載っていたのよりもずっと輝いて見えた。


白龍「せっかくだ、このままお主らを背中に乗せて行くから其奴に会わせてくれ。」



 僕らは白龍の背に乗り森を越え領の壁を越えて屋敷にたどり着きました。


 ですが突然の龍の訪問に領内は大パニックで騎士団らも慌てて出動しました。


 

白龍「いい街だな、我が暮らしていた時よりも大分豊かになっている。」


リース「そんなことよりも領の民が貴方を恐れているのでどうにかしてもらえないですか?」


白龍「…我は滅多に人類を敵対しない種族だから大丈夫だろう。」


リース「そう言うことでは…」


ガルド「白銀の龍よ…」


 

 白龍に恐れずに前に出てきたのはガルドだった。



白龍「随分と殺気立っているな人間。」



 ガルドは武器を持ち白龍を撃つ構えをとった。

 

 

 

 

 

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