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3,ジョーズワルツ公爵

 今日はヴァルンド王国から公爵の方々が来るらしいので、スクワーズ家は朝から大忙しである。


 ヴァルンド王国の貴族の階級を私リースが説明いたします。


 公爵       

 侯爵

 伯爵・辺境伯

 子爵

 男爵

 準男爵

 騎士爵

 

 同じ貴族でも大きく差があります。自身より上の位の貴族には礼儀を計らってお相手しましょう。



リース「お嬢様起きてください、朝ですよ」



 私はお嬢様を起こします。最近は元気を取り戻したのか昨日も領民の方と農作業に勤しんでいました。



レイン「まだ眠い…」



 いつもの戦法のレインお嬢様のお母様が来た…という戦法はもう効かなくなった。

 

 と、その時…



???「レインや、おじいちゃんだよ」



 僕が一瞬目をそらした隙にガルド様の様に筋骨隆々で大柄な年老いた人がレインお嬢様の側に立っていた。


 何者か分からなかった僕はレインお嬢様の危機だと感じたせいか、自然と体が動いた。



リース「そこの者、お嬢様から離れろ!」



 飛び込んだつもりだったが逆に袖を掴まれて投げ飛ばされるかと思いきや近くにあった椅子に座らされた。



ジョーズワルツ「若くていいのぉ、じゃが集中力が足りないんじゃないか?」


マリア「どこに行ったかと思えばここにいたんですかお父様。」



 お父様?………。マリア様のお父様ということは、レインお嬢様のお祖父様。確かお祖父様は王国の元騎士団長だった。幾度も国が危機に陥っても騎士団長とその兵士が立ち向って一代前の魔王に勝ったとか…


 だから後ろを向いていても僕の殺気を感知して袖を掴むとこまでいったのか。


 僕はこの人に剣を教わってみたい…この人を超えることができればお嬢様が安心して暮らせるかも。



リース「先程はすみませんでした。レインお嬢様のお祖父様のジョーズワルツ様でしたか。」


ジョーズワルツ「若いの、ワシの事を知っているのか。」



 それは勿論、ジョーズワルツ伝記は世界各地で大人気の本で全50巻あり、ジョーズワルツ様が騎士団に入りたての頃から、魔王を討伐して現役引退したところまでを忠実に描いた素晴らしい本。剣を目指す者なら絶対見たことあるはず。(諸説あり)



リース「ジョーズワルツ様のご活躍が書かれている本を全巻持っています。」


ジョーズワルツ「そうかそうか、あの本を。お主…あとで剣の稽古をつけてやろう。」



 先程もリースの説明があったと思いますが、ジョーズワルツの紹介をします。


 ジョーズワルツ・レヴォーグ

 年齢:60歳 身長:2m 体重90kg


 若くして剣神となり、騎士団に入団。

その後、1年に1回ある剣闘祭という世界各地の剣士が集まり頂点を決めるお祭りで30年連続無敗優勝を叩き出して、魔王までも打ち負かしている程の実力者。


 ここまでの実力がありながら剣神の力を使ったことがなくどう使えばいいのか未だに分からないらしい。



 家に来ると言っていた公爵家はジョーズワルツ様のことだった。お嬢様を起こした後は皆さんで朝食を召し上がった。



ガルド「お義父様…今日は何用でスクワーズ領に来られたのですか?」


ジョーズワルツ「先月王都の方で勇者のジョブを授かった者が現れたのだが、スクワーズ領にも良いジョブを授かった者がいるか調査しに来たのだ。」


ガルド「でしたらリースはどうでしょう。彼は剣聖のジョブを授かりました。お義父様のお眼鏡にかなうのでは?」



 そう談笑していると、ジョーズワルツ様が僕に向ってこう言った。



ジョーズワルツ「先程も言った通りワシと剣を交えないか、リースよ。」



 僕は剣神と剣を交える事に嬉しさを感じたが同時に、まともに戦えるかの不安も感じた。お嬢様の前で…お嬢様の騎士として負けられない戦いになる。



ジョーズワルツ「いくぞリース…」


リース「はい、ジョーズワルツ様」



 僕は剣を構えた。僕はこれまでに剣の修行を怠ったことは一度もない。お嬢様が二度と涙を流さないため必死に努力してきた。そして今日はそれを全て見せる事ができる。



リース「風風牙突ふうふうがとつ!!」



 僕は得意の風属性を活かして、剣に風の回転をかけ通常の牙突より3倍早く突く技をくりだした。

 ジョーズワルツ様は僕が突く場所を知っていたかのように軽々といなしました。



ジョーズワルツ「火属性を付与するのは分かるが風属性を付与できる奴がいるとは。」



 いなされるのも計画通り。まともにやり合っても負けるのが目に見えているので僕はわざと力を抜いた。


 この後にする連撃の為に…



リース「疾風ラッシュ!!」



 先ほどいなされた剣を右手から左手に持ち替えて16連撃を放つ。ただでさえ剣に風を纏っていて、魔力消費が高いのにも関わらず連撃を放つのは理由がある。



ジョーズワルツ「ほぅ…それだけの魔力移動、並の鍛錬じゃ辿り着けないだろう。」



 ジョーズワルツ様は連撃を次々にいなしていくが、僕は剣のある一点だけ集中して狙った。ジョーズワルツ様が持っている剣が少しずつヒビが割れて来た。



リース「今だ!」



 僕はジョーズワルツ様に勝つ為には真っ向勝負では絶対無理なので、剣を壊すことを考えたのです。

 

 そして今ジョーズワルツ様の剣が壊れた…



ジョーズワルツ「剣が壊れたから負け、そう思っていたんじゃこの先まだまだだな。」



 ジョーズワルツ様はそこら辺にあった木の棒と壊れた剣を素手で掴み合体させてしまいました。



ジョーズワルツ「鍛冶のジョブも鍛えてたら旅先の現地だけで剣とかは作れるんだ。」



 壊すことに専念していた僕は魔力も残り僅かの状態になってしまった。最後のあがきとして剣先に纏っていた風を集中させ丸くしました。



ジョーズワルツ「最後の技って感じかな?」



 僕はその集中させた風に地面の砂を加えた物をジョーズワルツ様に飛ばした。

 ジョーズワルツ様は避けようとしたがコイツは勝手に自爆する。


 一点に集中させた風は一気に放出し混ざっていた砂は砂煙としての役割を果たす。



ジョーズワルツ様「ゴホッ…ゴホッ…。視界を曇らせ何処から突いてくるか分からない仕組みか、考えたな。」



 僕は最後の力を振り絞り剣を突きにいったが、魔力が切れたのか飛び込んだ後倒れた。



レイン「リース!」



 お嬢様の声が聞こえる…

 僕はそっと目を閉じた。



 目を覚ますとベットにいた。しかもお嬢様のベットだった。動こうとしたら僕の側で寝ているお嬢様がいた。



レイン「リース…リース…」



 お嬢様が目を覚まさないよう静かに起き、部屋を出た。

 僕が倒れた後の事をガルド様にお聞きしたところ、あの勝負の後真っ先にお嬢様が助けに着てくださり僕の事をつきっきりで看病していたらしい。


 心の奥が熱い様な気がする。

なんだろう…すごくもどかしい気がするがそっとしておこう。

 


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