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魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第四章:強化期間・前編
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蹂躙されながらの考察


 「やっぱり天魔さんはスゴいな。過去に遡ることが叶うのなら、あの方に喧嘩を売った昔の我を殴りに行きたいものよ。


 さて、人間君。1人作戦会議は済ませたか?

 まぁまだだとしても、今度は我から行かせてもらうがな」



 問題点の洗い出しが終わり、その問題点をどう解決しようか頭を働かせようとしたところでドラゴンは魔王との語らいを終えて、言い終わるや否や俺の前へとまるで瞬間移動したかのように現れて、それを認識した時には何故か地面が天井になっていた。


 そして即座に地面が近付いて来たことと腹の痛みで蹴るか殴るかで天井へ飛ばされ、背中から激突し、自由落下を始めたのだと悟る。



 「ほらほら、抗わないとどうすることも出来ないよ人間君」



 なんとか態勢を立て直し足から着地をしようと体を動かそうとした時、横から声が聞こえた。

 片目でそちらを見れば、ドラゴンが一緒に落ちていた。


 目と目が合う。途端、気付けば景色が変わり、天井に体の前面から落ちた。


 いや違う。落ちたんじゃなく、また天井へと克ち上げられたんだ。


 そして背中に何かが勢い良く乗る感触がして、その衝撃で体が天井に沈む。

 しかし踏まれた足の感触は無くなった筈だが不思議なことに、普通であればこのまままた自由落下を始める筈なのに、一向に自由落下を始めない。それどころか、むしろ、そうまるで今俺が埋まるこの天井こそが地面だと言わんばかりに当然のように変化が無い。


 訳がわからず混乱するが、そんな俺の混乱をドラゴンは待ってくれない。


 すぐに、「さっきまでの威勢はどうしたんだい人間君」という声が聞こえたかと思えば、背中にそのまま干物にでもなりそうだと思うほどのいくつもの弾力の有る物を力技で殴り付けた時のような音と衝撃が俺を襲った。


 衝撃を感じたかと思えば次の衝撃を感じ、視界の端がどんどん天井を認識出来なくなって行く。


 俺に出来ることは少なく、背中に全力で魔力を回して少しでも衝撃やダメージを受けないように努め、この連続攻撃が止むまでに暇な脳を考察のために働かせる。

 正直背中から伝わる衝撃が強過ぎて、痛いとかいう次元を超えて冗談抜きで死にそうだが、ゆっくり戦いながら考えられる時間が今しか無いだろうため、我が儘は言ってられない。



 考える。考える。考える。


 考える。何故魔力ではなく、それ以外の何かで拘束が解けたのかを。

 考える。ドラゴンがどうやって俺の攻撃を視界に捉えず防いだのかを。

 考える。背中から伝わる衝撃や沈む体の速度から彼の力や強度を。


 考えて。考えて。考えて。

 そうしてそれぞれに現実的な物から荒唐無稽な妄想のような推測まで含めて考えて、それぞれにそれぞれの結論を出す。


 結論を出す頃にはとっくの昔に視界の端には天井の素材である石しか見えない状態になっていた。感覚的に、恐らく来ていた革鎧やその下の服まで原形を留めていないだろう。そして背中は、正直人間の形を保っているのか不安で仕方ない。


 しかし推測による作戦は決定した。だからまずは、取り敢えずドラゴンに一撃入れるために動かなければならなかった。


 その為、体が自分の意思で動くか不安だったため無理矢理頭を少し持ち上げ、自分の体に命令する。



 「『俺の意思の通りに動け』」



 この切り札の最初の頃の練習実験台は自分だ。

 久し振りに使ったが、靴で見えない足の指の動きの感じ方的に問題は無さそうだった。


 さぁ、反撃を開始しようか。



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