表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王の親友は勇者の親友的立ち位置の俺  作者: 荒木空
第三章:亀裂
83/689

▼side Another act4:休むとは


 ある日の事だった。サースは魔王から唐突に「たまには体を休ませないと鍛える意味がないよ」と言われた。


 どういうことかと問うたサースに、魔王は何でも無いようにこう言ったのだ。



 「脱力から繰り出される一撃ってヤツは凄まじい威力を誇るだろう?相手を思いっきり殴る時、1度力を抜いて拳を構え直すだろう?冒険者は依頼のあとほぼ確実に酒を飲んで楽しむだろう?


 全て同じさ。全て、次を進むために1度力を抜くんだ。


 サース、君にはそれが出来てない。君の中では『休む』というのは大罪そのものかもしれないけど、それでもやっぱりその張り詰めた糸を緩めてやらないとダメだ。

 君は総帝君に、学生の間に勝つという目標のためにその後の人生まで使ってそうなぐらい無理してるけど、君の人生はその後も続くんだ。


 あぁ、何を言いたいのかもわかる。気を抜くのは彼に勝ってからでも良いって言いたいんだろう?

 それもわかった上で言ってるんだよ。



 サース・ハザード。


 君は勝ちたいんだろう?ならまずは『休む』という修行をしろ。

 休まないなら見込み違いと、もう魔界には連れて行かないし、君を鍛えることもしない」



 サースがそう魔王に告げられたのが昨夜寮の部屋に戻る直前。

 そうして朝目が覚めたサースだったが、逆に何をすれば良いかわからず自室で茫然としていた。


 サースの中で、魔王の言葉がまるでエコーのように反響し繰り返される。

 物心ついて数年の間は年相応にやりたいことを体力の続く限りやって、疲れたら寝る。そんな生活をしていたような記憶が有る。しかし自分の生きる目的を定めたあの時から、自分に休む暇など無かった。

 だからこそ、休むと言われても何をすれば良いのかわからなかったのだ。



 「……考えても仕方ないか」



 そう呟くと、サースは身軽に動ける格好に着替えて、いつもの最低限の走り込みと魔王を想定したシャドウを行うために外へと出た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ