▼side Another act3:気付かない
僕と向き合う時のサースはあぁやって笑っていたっけ。そんな風にフォルティスは記憶の隅々までその記憶を探した。が、存在しない記憶は捏造でもされていない限りどれだけ探しても存在しない。
故にフォルティスは探しても探しても自分と関わった時にサースが楽しそうにしていた記憶が無い事を悟る。
そして日々彼から浴びせられる敵意や害意について色々と頭の中を駆け巡り……、具体的な記憶を呼び起こそうとしたと同時に湧き上がって来ようとした感情を破壊した。
湧き上がってきた感情を壊したフォルティスは、サースのことを最初は考えたが、すぐになんでサースのことを考えようと思ったんだっけ。と、サースのことを考えることを止め、ボォーッと空を眺める作業に戻った。
何も考えず、何もすることなく空を見続ける。
そうして空が茜色を通り過ぎ宵闇色へと姿を変えようとした頃に時間を思い出し、フォルティスは急いで転移でギルドの会議室へと戻った。
すっかり会議が有ったことを忘れていた事を謝罪すれば、二重に炎帝と水帝の2人から怒られ気分が落ち込んだ。
フォルティス・サクリフィスは、いつから自分の中に湧き上がる自分にとって都合の悪い物を破壊してきたか、いくつ破壊してきたか、最早その事実すらも都合が悪いと破壊して、自分が破壊されて行ってる事に気付かない。




