▼side Another act2:現実
隣に居た炎帝フレイル・エンラジーはもちろん、魔王も息を呑む音が耳に届いた。 そしてその音を奏でた当人は顔を真っ白にし、見るからに体中から汗を噴き出していた。
それを眺めつつ、魔王は続きを話し始める。
「ちなみに俺はその時、ちょうど視界の片方でサースの視界を捉えて、もう片方は今君達が居る辺りで謁見しに来た奴と話していたんだ。
そいつは蛇の獣人の男って言えば話は見えるよね?」
今度は炎帝が息を呑む番だった。何せ蛇の獣人の男と聞いて思い起こす人物が居たからだ。
それを認識しつつ、親子2人の様子に厭らしい笑みを浮かべながら続きを述べる。
「彼の要求は理解の無い人間達からの妻と子の保護だった。それを告げた直後にエルフのガキと獣人のガキがその母と子を殺してしまったからね。その後の未来なんて考えるまでも無いだろう。
だから彼には、俺から身を護る結界が張れる魔道具を下賜した。それは最終的にサクラ共和国の帝達に徴収され、最後にはその辺に捨て置かれたんだよね。
まぁ、俺の与えた魔道具や可哀想な最期を迎えた家族の事は今は良いだろう。
今君達にとって重要なのは魔族とは何かって質問だろうからね。
結論を言おう。本当の意味での魔族は2種類しかない。それは最初に説明した通りだ。
それ以外の魔族というのは、全部、君達人間達が勝手に自分達の都合の良いように作り出した便利な言葉の事だよ。
どうだい?俺の説明を信じるかい?それとも認めないかい?それは君達に任せよう。なんせこれは、君達人界の人間の問題だ」
「話はここまでだね。それじゃあ機会が有ればまたね」、そう残し、魔王はサースの為に次に彼を連れて行く所へ転移した。
残されたエンラジー親子はしばらくその場から動けず、動き出せたのは月が空の頂点に辿り着いた頃だった。




